ブランドの役割と機能
マーケティングで最も重視されている「ブランド」についてその意義・役割・機能についてまとめました。
「ブランド」はそれを所有する企業にとっても、利用する顧客にとっても、また株主のようなステークホルダーにとっても、それぞれの意義や役割といったものがあります。それぞれの関係者にとってのブランドの意味合いを整理してみました。
企業にとってのブランドの意義・役割・機能
企業名自体や扱っている商品をブランドとして所有し育てていくことは、企業にとって大変意味があります。通常、その役割や意義は「ブランドの機能」という形で述べられます。1970年代は4つでしたが最近では二つほど追加され説明されることもあります。
ブランド4つの機能(+2)
ブランドの出所表示機能
出所表示機能とはブランドの存在理由ともいえる「製造元」「提供元」を「識別」させる機能です。
ブランドの品質保証機能
品質表示機能とはブランド名によって、顧客がその商品やサービスに対して品質を評価する拠り所とする機能です。
ブランドの宣伝広告機能(情報伝達機能)
宣伝広告機能とはブランドが見込み客やユーザーに認知されやすくなるため広告と同様の効果を発揮できるといった側面を現しています。
ブランドの資産価値機能
資産価値機能とはブランドが企業会計上において資産としても働く機能です。ちなみに日本では「のれん代」として扱われたりします。また、この機能に着目して発展したマーケティングの概念が「ブランド・エクイティ」です。後ほど説明します。
企業買収、合併に際しては「ブランド価値」は無形資産として高く評価されています。例としてはソフトバンクが米国スプリント(携帯電話会社)を買収した際、ブランドに資産価値を認め3,000億円という巨額を支払ったことがあります。
ブランドの差別化機能
差別化機能とは、意味的には出所表示機能に含まれる内容でもありますが、売る側にとっては大変意味のある機能なので別途加えることもあります。
特に流通チャネル(店頭の売り場など)において他社ブランドと明確な差別化ができることはメリットとされています。
(出典:栗木契著、青木幸弘・恩蔵直人編『製品・ブランド戦略』有斐閣)
ブランドによる競争優位の維持機能
さらにコトラーは、高いブランドロイヤリティを保てる、高い値付けが可能になる、参入障壁に成り得るなどの点から「競争優位を確保する強力な手段」であると指摘しています。このことは今多くの経営者が最も意識していることだと思います。
顧客にとってのブランドの意義と役割・機能
起業だけではなく顧客にとっても、ブランドのメリットがあります。おもに以下の3点があります。
?ブランドの「品質保証」機能
購買時に出所や品質を確認できる「品質保証」の機能
?ブランドの「識別」機能
購買を決める上で、過去の経験など記憶を活かし意思決定をしやすくする「識別」の機能
?ブランドの「意味づけ」機能
自己実現やライフスタイルの表現をする上で、それと一致する連想を持つブランドを利用する「意味づけ」の機能
従業員にとってのブランドの意義と役割・機能
強力なブランドは、そのブランドを持つ企業で働く社員に対しても効果的な役割を持つことが知られています。主に二つの点です。
採用における効率と質の向上
魅力的なブランドであればあるほど、それに共鳴する従業員を集めやすくなります。採用には多額の経費が通常はかかりますが、募集広告をせずとも勝手に応募してくるといったことも起こります。また多くの人が応募するため自動的に優秀な人間が採用できる環境となります。さらには、ブランドを十分に理解している人間が多くなるので、その企業の志向や理念に合った人材が集まりミスマッチも起こりにくくなります。良い人材を低いコストで得ることが可能となるのです。
愛社精神と従業員満足度の向上
ブランドに共鳴している社員は、働く意欲も高く、また満足度も上がります。自己実現につながっているからです。これは給与や福利厚生といったものだけでは実現できないものです。そうしたことの例としてはスターバックスが有名です。
ただ単にコーヒーを飲ませるのではなく、家や職場・学校に次ぐ3番目の場所である「サード・プレイス」を提供する。このビジョンは多くの顧客を集めているのはご存じのとおりです。そうした顧客の中から自ら働きたいという人が多く現れてきています。
結果としてスターバックスは、良質な人材を低コストで獲得し、従業員に最大限のパフォーマンスを追求することができたのです。
株主にとってのブランドの意義・役割・機能
良いブランドは、株主、投資家にも大きな魅力を提供します。
社会的に良きブランドと認められた商品サービスを持つ企業は、今までに掲げたさまざまなメリットを教授できるため、良い業績を上げられる可能性は高いといえます。
さらに良いブランドを持っている事自体が、優良な無形の資産を持っていることになりますから、仮に一時的に経営状況が悪くなっても、他社に比べて価値は落ちにくいです。
これは投資家にとって見逃せないことだといえます。
まとめ
今回は、「ブランド」についてその意義・役割・機能について書いてみました。お読みいただきありがとうございました。
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