ブランド・エクイティ(ブランド資産)について

ブランド・エクイティの考え方とは

ブランド・エクイティの「エクイティ」とは資産を意味します。ブランド・エクイティとはブランドを企業(もしくはその所有者)が持つ資産の一つとみなす考え方です。 ブランドに関して、以前はマーケティング的にも会計的にも、資産や財産であるという見方はありませんでした。どちらかといえば、ブランドを管理しアピールするためにはお金がかかりますから経費の塊のように捉えていたのです。

ブランドを資産(エクイティ)として捉える視点が登場

そうした中で、ブランドを単なる名前やマークとしてだけではなく、企業にとって重要な「資産」として評価しようという考え方が生まれました。最初にこの考え方を提唱したのは米国のマーケティング学者アーカーです。 1991年に著した『Managing Brand Equity』でブランド・エクイティを「ブランド名やシンボルと結び付いたブランド資産・負債の集合であり、製品のサービスの価値を増減させるもの」と定義しました。そしてその構成要素として以下の内容を掲げました。これをアーカーモデルといいます。 ・「ブランドロイヤリティ(ブランドへの忠誠心や愛着)」 ・「ブランド認知(ブランドの認知されている度合い)」 ・「知覚品質(消費者が実際に5感で感じるブランドの品質)」 ・「ブランド連想(ブランドから連想されるイメージ)」 ・「その他の所有資産(特許、商標、チャネル関係など)」

顧客ベースのブランド・エクイティへ

現在は、さらに発展して「顧客ベースのブランド・エクイティ」という考え方が主流となりつつあります。これは「ブランドのマーケティングに対する消費者の反応にブランド知識が及ぼす差別化効果」と定義されてます。 簡単にいうと消費者が実際に感じてくれる「ブランドの差別化の力」といえます。アーカーモデルよりも、現場では実際にブランドを扱いやすくしたモデルです。 顧客の頭の中にあるブランドの知識を、どうすればよい反応がとれるよう変えていけばよいかにフォーカスした考え方です。この考え方は、「ブランド・レゾナンス・モデル」といいます。 参考サイト:ブランド・レゾナンス・ピラミッドまたは顧客ベースのブランド・エクイティ・ピラミッド(CBBE) 例えばアップル(またはiPhoneでも可)というブランドを見たり聞いたりしたとき、きっと何らかのイメージが、あなたの頭の中に広がったのではないでしょうか? その反応(共鳴)こそが「ブランド」だということなのです。「顧客ベースのブランド・エクイティ」とは消費者の頭(心)の中に浮かんでくる「ブランドらしさ」といえるでしょう。 (出典:Philip Kotler,Kevin Lane Keller(2014)『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』丸善出版)

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