ブランドの概要
「ブランド」は英語では “brand“。広義では自分の商品・サービスを、他社商品・サービスと区別するための様々なものの総称です。ブランド名という「名前」、そしてロゴやマークなどがそれを構成する要素となります。 狭義では、ファッション分野の高級品としてのイメージがある企業とその商品を指します。他の同じカテゴリーに属する商品とは明確に区別できる特徴を持っている付加価値の高い商品・サービスのことです。 「ブランド物」というのはまさしくそれです。日常では狭義のほうで使うことが多いですね。 ちなみに「ブランド」が広義の意味で使われるようになったのは、欧米企業のマーケターが、そのように使いだしたのが始まりのようです。 日本の企業でも最近は、特定の商品の統括責任者を「ブランドマネージャー」と呼ぶことも多くなっています。 今や「ブランド」は消費者に対して商品やサービスの出所表示や品質保証などを与えるだけでなく、それを持つことにより個性やライフスタイルを表すという象徴的な価値も提供するようになっています。 また「ブランド」の使用範囲も広がっています。最初は工業製品だけでしたが、いまは「地域」についても使われるようになってきています。「地域名」のついた特産物(農産物・水産物・畜産物)も最近は多くなってきていますね。ブランドとは? ブランドの定義
「ブランド」の原義と由来
ブランドの原義は、自分で飼っている家畜と他人の家畜を区別する必要が生じたため、高温に熱した金具(焼きごて)を用いて動物の皮膚に焼印(やきいん)を行ったことだと言われています。またウイスキーなどの酒を製造する過程でも樽に焼印をしますが、これと同様です。 また言葉の発祥については諸説があります。 「焼印をつける」ことを意味するノルウェーの古ノルド語「brander」からの由来であるとする説。 「焼印をつける」ことを意味する古代ケルト語の「brandor」からの由来であるとする説。 英語のburnedから派生したとものであるという説。 いずれも「焼印」という行為が大本になっているということは間違いなさそうです。ブランドの定義
定義は複数あります。狭義と広義の両方があるからです。まず狭義のほうから紹介しましょう。ブランド【brand】 ?自己の商品を他の商品と区別するために,自己の商品に使用する名称や標章。銘柄。商標。 ?特に優れた品質をもつとして知られている商品の名称や標章。 大辞林 第三版の解説次に広義のほうです。こちらは経営学特にマーケティングに携わる方のみに通用するものですが、経営学的にはこちらが正しい定義となります。 まずマーケティングのグル、フィリップ・コトラー教授です。
「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」次は、引用されることが最も多いアメリカ・マーケティング協会によるものです。
「個別の売り手もしくは売り手集団の財やサービスを識別させ、競合他社の財やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもののこと」いずれもマーケティングの世界では非常に広い意味で使われることがわかっていただけたと思います。
?ブランドとブランディング
ブランドにINGを付けたものブランディングです。ブランドは、お金と違って、放って置いて勝手に資産となってくれるものではありません。企業の努力によって、ブランドは価値あるものに変わります。 ブランドを設定し価値あるものに変えていく、またその価値を維持していく活動、過程をブランディングといいます。一言で言うと企業がブランドを創り維持する活動です。マーケティングの教科書には以下のような定義が載っています。ブランディングの定義(コトラーとケラーによる) 「製品やサービスに、ブランドの力を授けることであり、ひとえに差異を作るプロセスといってよい。~中略~ブランディングとは(消費者の心にブランドに関する)精神構造を作り、消費者が製品やサービスについての系統だった知識を形成し、意思決定が明確になるように助けることをいう」ブランディングについては、当初は「消費者に一貫したブランドのイメージや知識を持たせる」ことのようにされていましたが、現在は「差異を作ること」「差別化」に重点が移ってきています。ご注意ください。これは、企業ブランドはもちろん、地域ブランド、個人ブランド、国家ブランドにおいても同様です。