ポジショニング戦略とは? その極意は細部に宿る

こんにちは。ビジネスコンサルタントの管理人です。 こちらのページでは、ポジショニングについて考える際に、知っておくべきポイントについて説明します。 ポジショニングというのは、お客さんの心の中に、「他の商品とは違うユニークなイメージを持たせるための方法」のことです。 今、どの商品でもあふれるほど種類がありますよね。その中から自分の商品を選ばせるにはどうしたらいいか? マーケターがさんざん苦労して見つけ出し一般化したのがポジショニングというものなのです。 たとえば、ハンバーガーショップでいうと、マクドナルドとモスバーガーは全く違うイメージを消費者に持たれてますよね?
★立地がよく、安くて手軽なマクドナルド ★美味しくこだわりのあるモスバーガー
両社ともうまいポジショニングだと思います。 ポジショニングがうまくできていると、ぐっと有利になるわけですが、そうそう簡単には思いつかないので、ポジショニングマップと呼ばれるチャートを書いてアイデアを練っていくということがよく行われています。 ところが、慣れてくると、「このチャートを書ければOK! もう安心」みたいに勘違いしてしまったりします。 目的と手段の逆転です。机上ではOKでも、お客さんの心の中でほんとにユニークな位置づけとして伝わっているかが大事なんですから。 そのような間違いに陥らないよう、バッチリ伝わるポジショニングを作るためのコツを、音楽業界を例にお伝えいたします。では始めましょう~。

ポジショニングに必要なのは「圧倒的なインパクト」!

ポジショニングという用語は、最近は新入社員でも知っています。でも大切なのはポジショニングの中身なんです。よくある間違いは、他社の商品が存在しないポジションを見つければOKとしてしまうパターンです。でも単なる「他社には無い何か」を見つけたところで、それがお客さんの心に響かなくっちゃ意味がないですよね? では響かせるためのコツとは? それは「圧倒的なインパクト」を持たせることです! とにかくユニークさのレベルが半端じゃないなって思わせることです。 たぶん、ちょっとしたユニークさとかは、プロが考え抜けば、そこそこのものは見つけられるでしょう。だけど、それがお客さんの脳みそにズバッと入って行くぐらいでないと意味がないんですね。?プレゼンシート上の、グラフの綺麗さだけでは通用しないってことです。 最近の商品でいうと「iPhone」とかがまさしくそうでした。天才スティーブ・ジョブスが産み出しただけのことはありますよね。 iphone6-gallery4-2015 (画像出典:iPhone – Apple(日本)) でも「iPhone」のレベルはちょっと無理だ、真似できないよと思うでしょう。その通りです! いきなりiPhoneレベルの商品を企画しようとするのはやめておいたほうが無難です。天才だからこそ生み出せた商品だと思います。 真似しようとして取り組んでも時間を無駄に費やしてしまうだけです。ではどうしたらよいのでしょうか?

答えは「徹底的なこだわり」

では、普通の人間、いわゆる凡人はどうしたらよいのでしょうか? ポジショニングで「圧倒的なインパクト」を与えられるレベルの、ユニークな何かをみつけられないとしたらどうしたらよいのでしょう? そこそこの、ユニークさで通用させられるのでしょうか? はい、では答えましょう。それは・・・あなたが見つけたそこそこの「ユニークさ」について、 お客さんの目に触れるすべての点で徹底的にこだわりまくる ということ、これが答えであり打開策です。ちょっとした違い、ユニークさを、 ここまでやるのか! というぐらい強調し、主張するのです。 ?するとうして初めて人は、おおおっ! となるのです。   では、私の大好きな音楽業界での実例を一つ紹介しましょう。音楽業界(国内)で唯一、有名になれたヘヴィーメタルバンドの話です。 ヘビメタというジャンルは、人による好き嫌いも激しく、一部のマニアだけの世界ということもあるので、そんなに有名にはなれません。だからオリコンのベストテンとかには入らないのですが、なんと彼らには5位になったシングルもありました。後にも先にもこのバンドのみです。そのバンドは聖飢魔IIといいます。 seikima2(画像出典:聖飢魔II オフィシャルWEBサイト) いきなり私事で恐縮ですが・・・ 実は私、高校・大学時代は音楽(バンド活動)にのめりこんでおりました。自分のバンドをいかに影響力のある、イケてるバンドにできるか、文化祭で目立てるか? 24時間365日考えておりました。ボーカルのI君が中心となり、バンドのコンセプト、音楽性、コスチューム選び、ライブの演出、チラシやチケットの作成・配布など、いろいろやっておりました。 今、マーケティングや広告を人に教えてますが、その原点はバンド活動にあるといっても過言ではありません。かっこいいバンドがあると聞けば、文化祭、ライブハウス、楽器屋のミニライブなどに行き、いろんなバンドを見ては研究していました。 大学1年のときでした。ある日、早稲田大学に通っていた中学時代の友人が「自分の所属している音楽サークルに面白いバンドがいる。文化祭を見に来れば」と誘ってくれました。そして、そこで見たのが「聖飢魔?」です。 ボーカルのデーモン小暮閣下は、ユニークなメーキャップでテレビなどでも有名ですね。 (若い人は知らないかな?) 今から約30年以上前、当然メジャーデビュー前です。ライブを見たときの衝撃は忘れられません。 ここまで大学生のバンドがやるのかよ??? 彼らは自分とほぼ同い年の大学生でしたが、ぶっ飛んでました! 細部までこだわって構築した世界観の統一性がみごとでした! 当時すでに似たようなコンセプトのバンドはいくつか存在していました(Kissというアメリカのロックバンドを真似た感じ)。しかし聖飢魔?ほどこだわったバンドは見たことがありませんでした。 全員が衣装と化粧を完璧にやったうえで、ライブの進行、語り、弾くポーズ、歌い方、歌詞の全てが細部まで完璧でした。ライブ自体も「黒ミサ」といっていたと思います。衣装や演出も、大学生がバイト代で調達できる範囲ではありましたが、徹底ぶりがみごとでした。(当時、他のバンドもある程度は衣装とか凝っていたとこもありましたが、ボーカルだけとかが多かったと思います) バンド(聖飢魔?)のコンセプトは、  「地球征服を目的とし、悪魔教を布教するために組織された教団」 ある意味幼稚とか子供っぽさも感じはしましたが、彼らの想像力とこだわりには心底、脱帽しました。 しかもボーカルの小暮氏は曲間では黒魔術や、悪魔的な世界観をベースにおしゃべりしつつ、笑いまでとっていました。ほんとにすげぇ~!と思いました。 その日は、興奮が冷めず眠れませんでしたね。中学時代の友人から小暮氏は普通の学生だと聞き、自分との違いをまざまざと見せつけられた気がしました。 それから数年後、聖飢魔?はCBSソニーというレコード会社からメジャーデビューしました。 「やはり、わかる人はわかるんだ。レコード会社も放っておかなかったんだ」と妙に納得したことを覚えています。 当時ヘヴィメタルとかハードロック系のバンド、ビジュアルの奇抜さでやっていたバンドは多数存在しておりました。しかし、聖飢魔?は、悪魔教という、ちょっとふざけた演出を、誰も真似できないレベルで徹底した結果他のバンドが提供できなかった「魔界」という「非日常のエンターテイメント空間」を与えることに成功したわけです。

徹底してこだわる覚悟~悪魔は細部に宿る~

当時、聖飢魔?と同じかそれ以上の演奏力、作詞作曲能力を持つバンドは、たくさんありました。また、似たコンセプトのバンド(いわゆるKissもどき)もいくつかあったと記憶しています。ですが彼らだけがメジャーデビューできた理由は、 お客さんの目に触れるすべての点を徹底的にこだわりまくる勇気、覚悟があったからだと思うのです。 もしも衣装と化粧だけをこだわっていたのだったら絶対に埋もれていたでしょう。ライブで悪魔教を語り、火を吹き、血を吐いた(演出)から観客は惹きつけられ満足できたのだと思います。 正直、普通の人なら、あそこまでやるのは恥ずかしくてできません。彼らの真似をすればデビューさせてあげると言われても、ミュージシャンとしてのプライドが邪魔してできないでしょうね。 でも彼らは、恥ずかしがらずに(逆に面白がって)細部までこだわった世界観を表現したからこそ、リスナー、そしてレコード会社の方々に響いたのでしょう。楽曲もヒットしましたが、それもポジショニングの成功の上で花が開いたのだと見るべきでしょう。 国内でこのジャンル-ヘヴィメタルとかハードロック-で他にもLOUDNESS、EARTHSHAKERとかバンドはたくさんありましたけど、聖飢魔?以上に有名になったバンドはありません。強いてあげればSHOW-YAぐらいでしょうか。たいしたものです! ちなみに英語で、「細かなディテールを疎かにしてはいけない」というようなことを述べる場合、”?The Devil’s in the details”?=「悪魔は細部に宿る」というそうです。タイトルはそこから来ております。例にした聖飢魔?にぴったりですよね?

「世界観」の使い方がうますぎ!

ポジショニングの例として掲げた聖飢魔?ですが、実は「世界観」の設定自体が成功の要因であると言えなくはありません。そのことに触れておかないといけないですね。 ミュージシャンは、みなそれぞれ独自の世界観を持たれていると思います。ですが、その表現は詩や曲、ファッションに時々でてくるといった程度が普通です。 ところが、映画、アニメ、漫画、ゲームでは目に見える形で、世界観が提示されます。特に大ヒットしたものほど顕著です。その世界観自体が作品の大きな魅力であり、ファンの吸引力となっています。ガンダム、スターウオーズ、ドラゴンボール、ワンピース、ドラゴンクエスト、みなそうですよね。 音楽を楽しむ人達もみな映画、アニメ、漫画、ゲームに触れ「世界観」を楽しむという習慣があるわけです。だから音楽の世界で、おもしろい世界観を観せてくれれば、歓迎されるのは当然なわけです。ライブで楽曲はいいし、世界観もおもしろいということであれば、絶対ウケることは間違いありません。 こうしたこともわかってやっておられたとしたら聖飢魔?は見事としかいいようがありませんね。

まとめ

ポジショニングとは、お客さんの心の中に、他の商品とは違うユニークなイメージを持たせるための方法です。ですがただ机上で、ここが空いているポジションだと見つけて満足しているだけではダメです。 それを実際に、お客さんの心の中にガッチリとイメージとして植え付けられることができなければなりません。圧倒的なインパクトが必要だということです。 そのためには、画期的でユニークなポジショニングがポンポン出せればよいのですが、さすがにそうはいきません。そこで普通の、ちょっとしたアイデアでも圧倒的なインパクトを与えられるようにする方法が必要となります。 その一つの方法が、「細部にまで徹底的にこだわった見せ方」なのです。例として挙げた聖飢魔?は、楽曲は普通のヘヴィメタルでしたが、「悪魔の教団」という演出に徹底してこだわり、この種のジャンルで唯一有名になったバンドとなれたわけです。 なお「圧倒的なインパクトを与えるポジショニング手法」は他にもありますので、追って紹介してまいります。お読みいただき、ありがとうございました。