カスタマーサクセスとは? ライザップを事例に解説してみた

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスとは、企業活動の新たな目的観です。私の周りは、誰も彼もカスタマーサクセスのオンパレード! 間違いなくこれからのビジネスの本流になっていくでしょう。今回はカスタマーサクセスについての概要と学ぶための情報源をまとめておきます。

顧客の満足感だけではなく業績向上を実現させることがfゴール

企業は商品やサービスを提供して対価を売上として得ています。対価の基になっているのは「価値」です。価値を提供するので、対価がもらえるのですね。

企業が提供する価値は、大きく分けて機能価値と情緒価値の二つがあります。

例えば、フィットネスクラブというサービスがあります。機能価値とは、そこで提供される器具の使用量、場所代、アドバイス、レッスンの人件費への対価でした。また情緒価値として、トレーナーの人柄、ホスピタリティ、フィットネスクラブのブランドなどがありました。

ところが誰もがわかっているとおり、実は顧客の本来の目的は「健康」であり、細かく言えば「ダイエット」「筋力(筋肉)」「肺活量」「特定部位の見た目」の向上などです。

正直言って、これらの本来の目的自体は達成されなくとも、料金という対価はいただけたわけです。ところが、よく考えると、これは顧客は「自己満足」が向上しただけ、企業も「顧客満足」が向上しただけです。本来の目的は達成されていません。まあこれは現状の消費活動において暗黙の了解となっています。

カスタマーサポート

カスタマーサポート

顧客へのサービスのレベルがひどかった昔ならともかく今ではどこもCS(顧客満足度)が第一であるとか、顧客体験が第一だという考え方が中心となっています。まあ刹那的な目的で消費するサービスならまだしも、本来はおかしいんではないかという意見が出てきても不思議ではないわけです。

特にBtoB企業にとっては切実な課題でした。どんなにセールスパーソンの笑顔がよくとも、アフターーサービスがよくても、顧客企業の業績が伸びなければいずれ取引は打ち切られてしまうからです。

そこで新たに生まれたのが、カスタマーサクセス、つまり顧客の成功を提供する価値の核にすることです。顧客の業績向上を実現すること」が営業から製造まで含めた全社の目的にするのです。売上はその結果としてついてくるという考え方です。

以下のスライドが日本で火を着けた一つです。よかったら見てみてください。

原則論としては、まさしく王道というかあるべき姿ですよね。

「顧客の成功」10の原則とは?

ちなみに、ニックメータらが唱えている顧客の成功の原則は以下のようなものです。

原則(1) 正しい顧客に販売しよう
原則(2) 顧客とベンダーは何もしなければ離れる
原則(3) 顧客が期待しているのは大成功だ
原則(4) 絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する
原則(5) ロイヤルティの構築に、もう個人間の関係はいらない
原則(6) 本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ
原則(7) タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう
原則(8) 顧客の指標を深く理解する
原則(9) ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める
原則(10) トップダウンかつ全社レベルで取り組む
出典:『カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』

では事例を交えて紹介しましょう。

カスタマーサクセスの事例1 先端を走るセールスフォース・ドットコム

このことを最初に言い出し、そして身をもって実践しているのがセールスフォース・ドットコムです。この会社は、顧客に対して営業や顧客管理のシステム(正確にはSFA、CRM)をクラウドでレンタルしている世界一の会社です。

この会社では会社の事業目的をカスタマーサクセスに置いており、その名のついた専門部署まであります。目的は、顧客企業の営業を伸ばし、良い顧客を増やしリピートさせていくことです。

単純にここまでを会社のビジョンとして掲げるだけなら、特に珍しくもないのですが、素晴らしいのは、顧客に対して最新のシステムを使って実際に集客や利益が伸びるよう社員の意識を変えさせるところまで意識している点です。

営業というものは、製造のように決めたことを正確に継続すれば成果があがるということはありません。日々、生身の人間どうしがぶつかり合いながらお互いの目標達成に向けて努力していく世界です。ここでは、正確な指示をくだす者ではなく、どちらかといえばスポーツのコーチや監督のようなフレキシブルなサポーターが求められるのです。

セールスフォースドットコムでは、いわばコーチング的に、システムの導入先を指導していく仕組みまで提供しています。カスタマーサクセスマネージャーと呼ばれる専門家が出向き、自社の提供したシステムをきちんと使いこなし、業績向上につながるようフォローするのです。

もちろんこれは、それだけ余分な費用も発生はするのでしょうが、本来の目的が達成できればそれを補って余りあるということです。

システムを入れてもそのまま効果が発揮されず無駄になったシステムは山ほどあります。それを考えると実に素晴らしい発想だと思います。

カスタマ-サクセスの神髄
文章顧客の成功を実現するためには、顧客自体を変えていくことも含まれる!

たぶん10年もすれば、刹那的な娯楽サービスを除き、どの企業も「カスタマ-サクセス」を標ぼうするのは間違いありません! ただし、簡単にはいかないのが人という生き物です。それを次に書きます。

カスタマーサクセスの事例2 最大の難関を突破したライザップ

人間は誰しも、幸せになりたいし成功したいと思っています。企業だって売上と利益は伸ばしたいし、顧客の成功を支援したいはずです。でもそうは問屋が卸さない、悲しい人間の性質があります。人は自分を変えたくないということです。

今まで企業が容易に提供できたのはモノと情報、サービスです。人の心を長期的に変える、つまり習慣を変えさせることは考えもしなかったし、チャレンジもしませんでした。

ダイエット、早寝早起き、整理整頓、親切などなど、習慣化させたほうがよいことは実はみんなわかっています。でもできません。この部分は暗黙の了解であきらめてました。でもあえてここに挑戦している企業があります。

それが皆さんご存知の会社、RIZAP株式会社グループです。ちなみにジーンズメイトもグループ会社です。

ジム、英語、ゴルフについて結果をコミットした事業を実施し成功しているのはご存知のとおりです。ここでは、人の習慣を変えさせる仕組みを持っています。ジムでは挫折させないメンタルサポートが売りで心理カウンセラーなどカウンセラーもいます。これがミソなんですね! 

ライザップゴルフ

RIZAP ENGLISH 

カスタマーサクセス(CS)はクラウド業界用語ではありません!!

一言、注意です。カスタマーサクセスは、たまたまクラウドサービス、SaaSといった業界で成功例が出たため、この業界の用語みたいな感があります。また従来の顧客満足(これもCSですね)を支援するコンサル会社も、今躍起になって新たなCS(はいカスタマーサクセスです)にチャレンジしようとしています。

しかーし、本当は、それ以外の業界、特に大企業ほど、この流れを感じ取ってほしいんです・・・。既存の大手も本気でこのことに気づいたところが勝ち残ると思います!

私がみるところAmazonが消費生活の全分野のカスタマーサクセスを担う日が来るような気がいたします。それとスタートアップ、特に個人単位のところ、今がチャンスです。

カスタマーサクセスの情報源

WEBサイト

(1)セールスフォースの担当者の記事が載っています

↓上記サイトからの引用です

株式会社セールスフォース・ドットコムにおいて約9年間、カスタマーサクセスを担う北川 博一さん。

北川さんは、営業の役割が「売上を作る」ことだとすると、カスタマーサクセスの役割は「顧客の業績向上を実現すること」だと語る。そして、その結果として、サービスの利用が継続され「売上を守る」ことに繋がるのだ。

そのため、同社では顧客の活用状況を独自の指標を用いてモニタリング。何かしらの課題を感じている顧客に、最適なタイミングでサポートを提供する仕組みを整えている。

また、コミュニティやWebセミナー、自習室の運営などを通して、「顧客自身での自己解決」「1対Nの支援」を実現し、多くの顧客を支援する体制を構築しているという。

(2)カスタマーサクセスのお手本企業 セールスフォースcomのサイトからeBOOKを申し込もう! 人の習慣を変えることにチャレンジする必要性が載っています

Salesforceはこの「カスタマーサクセス」というモデルを2000年初頭から、いち早く提唱しはじめ、その重要性を訴えてきました。なぜ今この言葉が注目されるのか、またSalesforceがこのようなコンセプトで取り組みを開始した理由とは?

(3)貴重な資料が無料で手に入ります。ソフト業界のカスタマーサクセスの基本がわかります、起業しなくても有用です。

(4)役に立つ本を紹介してくれているの個人サイト

カスタマーサクセスを実践していくのに必要な本を読みこんでいます。 これまでに読んでよかった本をまとめておきます。 CRMの基本 CRMの基本。マーケの基本。ビジネスの基本。 社会人1年目が読むような本を今更読んでて恥ずかしいけど、基礎がわかってよかった。 CRMの基本作者: 坂本雅志出版社/メーカー: 日本実業出版社発売日: 2014/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログを見る CRM―顧客はそこにいる もうちょっと詳しくCRMを勉強できた。 もっと早く知りたかった。これから取り返すゾ! CRM―顧客はそこにいる (Best solution)...

おすすめの本

ついに翻訳が登場!、カスタマーサクセスのバイブル本です。まずはこれから

上記の基礎がわかっていればこちらの本を読むといいです。

顧客が自信を持って他人に進めるかで顧客のロイヤリティを測る「顧客ロイヤルティ指標NPS」の提唱者の著書です。アップルからザッポスまで、数千の「超優良企業」の成長エンジンを明らかにしてます。「あなたが弊社の商品/サービスを親友や同僚の方に推奨していただける可能性はどのくらいありますか?」この問いへの回答を的確に、分析することが、「ファン顧客」獲得、維持、拡大につながるそうです!

この本にもカスタマーサクセスに関することが入ってます。起業家は必須でしょう。

タイトルは関係なさそうですが必読です。関連してサブスク経営のことも学べます。

以上、お読みいただきありがとうございました。