「PDCAが古い、これからはOODA(ウーダ)」だなんて本質を知らないだけ《OODAパワポDL》2019年

PDCAサイクル

こんにちは。 最近、「PDCAが古くて使えない。最近はOODAという新しいイケてる手法がよさそうだ」という話を聞くようになりました。私は、これは表面的に捉えてる勘違いだと思ってます。今回はこのことについてご説明します。

そもそもPDCAってなんだ?

PDCAとは、英単語の頭文字をつなげたもので「P:Plan(計画)、D:Do(実行)、C:Check(評価)、A:Action(改善)」を表しています。 米国のウィリアム・エドワード・デミング博士という高名な学者が1950年ごろ工場の品質向上のために提言したものです。 成果をあげるため物事を順序だてて行うための段取りを示したものの一つです。P→D→C→A→P→D→C→A・・・といった形で延々と繰り返していくため「PDCAサイクル」とも呼ばれます。 「国際標準化機構」って知ってますか? ISOのほうがピンとくるかもしれません。品質マネジメントシステム(顧客満足度)を目的としているISO9001ではこの「PDCAサイクル」を要求事項として組み込んでいます。由緒正しいものなのです。 PDCAは、大いに広まり一人でも集団でも使ってOKですが、継続して何かを行っていく場合に品質を高め効率よくやっていくための手法として優れており、企業はもちろん教育や医療の分野でも用いられています。

PDCAサイクルの使い方

例えば自動車工場の生産ラインなどが最適です。不良品率を何とか下げたい。そのために計画を立て、製造ラインの一部を改善していく、といったときに力を発揮します。 同じ内容をやり続けるなら、確実に向上が予想できます。日本人のもの作りの神髄もひょっとしたらこの辺にあるのかもしれません。いわばルーチンワークでは実に有効だといえましょう。

「PDCAサイクル」の弱点

PDCAサイクルは世界中に広がり、様々な分野で使われるようになりました。工場で目覚ましい品質向上を達成したPDCAは、いつのまにやら本来の製造現場だけでなく、営業や、物流、から経営層まで企業全体で使われるようになっています。

ところがここまで広がると、ちょっと問題が起きてきます。

工場を一歩出ると、そこはいつ何が起こるか予測できない世界だったりします。特に営業やマーケティングなど顧客と接する最前線では日々変化の連続ですよね。最初に決めた計画のとおり、サイクルを回していくことが難しいわけです。世の中って、どんどん流れが速くなってきていますから。

秩序と規律がある工場とあまりに違いますかので、なんでもかんでもPDCAでやっていくことに問題が発生するわけです。

  • 計画を立てても物事がその通りに進められない。
  • もはや無理な計画なのに、しかたなく実行→評価→改善をしないといけない。
  • せっかくのチャンスが来たのに計画外のことなので機会を逸してしまった。

PDCAを回すことを守ろうとするほど、経営的にみると明らかに不利なことも出てくるわけです。これは臨機応変な対応が求められる企業の現場においては致命的になりますよね。どうすればいいのかと頭を抱えだしたわけです。

OODA(うーだ)の登場

といったわけで、工場ではない、臨機応変に現場で対応しなきゃいけない局面、場面で使える方法が求められるようになりました。そこでスポットライトを浴びたのが、まったく工場の品質向上などとは無縁というか、真逆とも言える軍事の世界で生まれたOODAという概念です。 正式には「OODA(ウーダ)ループ」と言いまして、撃墜王兼天才軍略家と呼ばれたアメリカ空軍のジョン・リチャード・ボイドが提唱した理論です。読み方も彼のご指定らしいです。

ボイドは航空戦闘(空中戦)の理論家でありながら引退後は人間の意思決定の研究に没頭します。そして「OODA(ウーダ)ループ」を作り上げました。 これは、ちょうどPDCAとは真逆のシチュエーションにおいて物事をうまく進めるための枠組みとして都合がよかったのだと思います。

PDCA「工場で品質を上げるための枠組み」でしたが、 OODAは「戦場で勝利するための意思決定の枠組み」なんです。

OODA(ウーダ)は

  • 未来の予測ができない流動的な状況で
  • 多人数が参加しつつ
  • いかに「計画」を立てるか
  • いかに「改善」をしていくか

に対応できるように考えられています。

「計画」といっても正確には「最善手」となりますが、それをどう立てていくかということに特化しています。 人の意思統一はただでさえ難しい上、戦場では人の命がかかってます。企業の意思決定がいくら大変だといっても、比べ物になりません。意見が分かれるのは必須です。そうした状況でうまい具合に全員の意思が調和するような仕組みを考えたのです。まあ天才といわれてたそうですが当然ですな。

もう少し説明すると

  1. 計画は立てるが、こだわらない。(厳密にいうとこだわる部分とこだわらない部分を明確にしておきます)
  2. 過程においては具体的に細かく指示はせず、ゴールを示し後は現場の人間に任せる。
  3. 過去の改善よりも、近い未来に何が起きそうなのかを注視。スピード感を大切にする。
  4. 想定外のことに対して、いかに迅速に解釈し、意思決定と行動を行うかがわかることを優先する。

流動的な状況が予想される場合、PDCAサイクルよりも、素早く臨機応変に動くことができるOODAループの方が適していることはおわかりいただけると思います。

OODAループの中身を解説

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OODAとは、O:Observation(観察)、O:Orientation(方向性の決定)、D:Desision/Hypothesis(決断)、A:Action(行動)からなります。

PDCAと比べるとA(アクション/行動)は共通です。PDCAのP・C・Aの部分がOODだと思ってください。 OODAでは現場の状況をウオッチ(観察)してとりあえず方向性を決めます。そしてまた観察します。

これを何回か繰り返しながら精度を高めます。そして行けそうだと思えたら「決断」して行動するのです。 簡単に言うと、PDCAの「計画」の部分を、細分化してそのプロセスを見える化したというところです。また多人数で動けるよう、決断時には、

  • 絶対に全員が守るべきこと
  • 状況に応じて変えてよいこと

この二つのあらかじめ決めておきます。そうすると臨機応変な対応が慌てず混乱せずにできるようになるのです。変更可能な部分を決めておくことで柔軟な対応を可能になるのです。これはPDCAサイクルにはグッドな発想ですね。

PDCAとOODAの使い分け

ということで、PDCAとOODAの違いがわかったとあなたにもおわかりいただけたと思います。

簡単にいうと大きな変化がないものについてはPDCAサイクル、状況変化が激しいところはOODAループがよいと言えます。 つまり適材適所だということです。対象とする業務の内容によって使い分けていくのが正しいといえます。今後は全てOODAに変えるべしというのは根本的に間違ってると思います。

まとめ

仕事でも趣味でも勉強でも、PDCAとOODAは使えます。あとは使う場所をまちがえなければいいだけです。賢く使っていきましょうね!

おまけ

参考文献  

2019.5.8追記

OODAは現在の欧米で第5次OODAとなり、今は完成形と言われる次世代第6次OODAの研究が進んでいますが、第5次OODAについて

OODAループの提唱者であるジョン・ボイドの愛弟子である著者が、ビジネスを事例にOODAループを解説した古典的名著、待望の翻訳!

参考動画

(ご参考) それでもPDCAにお嘆きの貴兄に、KPTはいかが?

2019.5.8追記

PDCAの改良ならこうした考えもありかと最近、思います。それはKPT(けぷと)です。他にも似たような候補は、 LAMDAとかOKRとかいろいろありますが、少なくともOODAなどには首を突っ込まずにまずはKPTでも学ばれてはいかがかと・・・。

KPTは、OODAとは違う領域を違ったアプローチで、ビジネスの改善を仕組み化する手法です。活動をふりかえり「継続すべきよい点(keep)」「課題(problem)」「対策(try)」の3つの視点で整理し見える化して改善をしていく手法です。よかったらお読みください。PDCAのCheck-Actionを向上させられます。

一通りの解説書

敏腕コンサルタントがPDCAを徹底的に見直し、補う形で上手にKPTを取り入れることを提案されてます。これですよ、これこれ!