マーケティングの”STP”|大事なのはポジショニングなのだ!
こんにちは、コンサルタントの中田です。今回はマーケティングの手法の中でも最も重要なプロセスである、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングについて説明します。
マーケティングのプロセス(過程)
マーケティングは、実際にどのように進められるのかを説明します。これは大変シンプルです。他の仕事と同じくステップバイステップを踏んで行います。
(1)マーケティングの調査・分析
市場調査(マーケティング・リサーチ)や社会全般の調査を行い現状を把握します。そして現状を自分たちなりに把握します。
(2)マーケティングの計画
調査・分析を元に商品やサービスを計画します。
商品を企画し、デザインと生産方法を検討します。合わせて広告・広報・販売促進も考えます。流通、物流、営業・販売の施策も検討します。
(3)マーケティングの実施
計画したことを全て実行します。
(4)マーケティングの評価・修正
売った結果を確認しつつ、計画したことの効果を検証します。問題があれば解決策を考え、施策を修正します。
マーケティングの基本 手法と用語
いよいよマーケティング活動の中味です。
ここでは代表的なマーケティング活動の流れをまず説明します。3つのステップからなります。
マーケティングの3ステップ
(1)市場を決める
顧客のニーズを推測しながら誰に何を売るかを決めます。
(2)商品・サービスの心理的な位置づけを決める
顧客が他の商品との違いがわかるよう検討します。
(3)マーケティングの具体的な施策を決めて実行する。
商品の詳細、価格、流通方法、広告・販売方法を決めます。
この3つを順番に、こなしていくのがマーケティング担当者の主要な実務です。
先ほどのマーケティングのプロセスでいうと「調査・分析」「計画」「実施」までのフェーズが、この3ステップです。ここが全ての肝となります。実際に商品を作って店頭に並べたら、後戻りはできませんから。
特に(1)は大事です。料理でいうと「献立を考える」という段階です。ここがマーケティングでは一番大事なんです。覚えておきましょう。
ここからは、マーケティングの用語がいくつか出てきますが、どれも大事なのでついでに覚えてしまうといいですよ。
では順番に説明しましょう。
(1)市場を決める~セグメンテーションとターゲティング~
市場を決めるというのは、何を誰に売るかを決めるということです。大事なのは、それについてなるべく細かく絞るということです。
まず消費者は、さまざまなタイプの人がいますよね? 一人一人が、好みや、使えるお金、利用の方法、必要性など異なります。例えば食事や洋服を、全員が同じものを強要されたらいやですよね。ですから、全ての人をいっしょくたにするのはよくありません。
買う人の希望に合わせて商品やサービスを提供するのがベストなのです。あなたの商品・サービスをどんな人が最も喜んで買ってくれるかを想像し、その人を見つけることが必要だということです。よろしいでしょうか。
では順を追って説明します。
何を売るかを決める
最初に決めるべきは、「何」を売るかです。たぶんここは既に決まっていると思います。
もしも起業や新規事業の立ち上げといった場合は、ざっくりとでもいいのでどういった分野でビジネスをやっていくかを決めましょう。
わかりやすく例をあげて説明したいと思います。
ここでは、缶コーヒーを取り上げることにして説明したいと思います。
買ってくれそうなお客を予想する(市場)
次は、誰に売るかを検討します。
マーケティングの世界では、この買ってくれる人たちの集合を「市場(しじょう)」といいます。
缶コーヒーは子供でも飲みますが、主に買うのは大人ですから18歳以上の男女が「市場」となります。
お客を分ける(セグメンテーション、市場細分化)
次に、買いそうなお客の集まりを、似たような客同士を集めてグルーピングします。このグループ分けを「市場細分化」または「セグメンテーション(Segmentation)」といいます。
では缶コーヒー市場を分けてみましょう。缶コーヒーの市場は、基本的に男性のほうが多く消費しています。
缶コーヒーを発売するにあたり、女性向けの市場をしっかりと開拓したいとします。調査したら、男性と女性では、缶コーヒーに関する好みは異っていることがわかりました。
・男性は苦味を重視する。
・女性は後味・甘さ・ミルクの多さの3つを重視する。
その調査を元に市場を二つに分けてみます。
・男性向けの市場=苦味を強くした商品
・女性向けの市場=甘くミルクの多い商品
市場が二つに分かれました。これが「セグメンテーション」です。
簡単ですよね。
お客を選ぶ(ターゲティング、Targeting)
次に分けた市場のどれらかを選びます。これを(ターゲティング、Targeting)といいます。ターゲットを決めるということです。
今回は、元の狙い通り「女性向けの市場」をターゲティングすることにしましょう。その結果、会社としては、甘くミルクの多い商品を作ることとなるわけです。ちょっと長ったらしいので「カフェラテ」と言い換えます。
(2)顧客の心に商品を位置づける~ポジショニング~
さて女性向けの市場を選択し会社としては、カフェラテを作ります。でもこれだけではマーケティグとしては不十分です。
なぜならカフェラテは既に多くの会社が缶コーヒーを販売しているからです。
ただの「甘くてミルクがたっぷり入ったカフェラデ」だけでは弱いんですね。
ただ店頭に並べても目立たず埋もれてしまうでしょう。
ですからここで他社との違いを示さなくてはいけません。他社商品との違いを明確にすることを「差別化」といいます。
この他社との違い(差別化)はどうしたら可能になるのでしょうか。
ここで登場するのがポジショニングです。
ポジショニングとは、ターゲティングして絞り込んだ市場(=顧客)に対して、商品をどのように訴求していくかということを決める作業です。具体的にはお客の頭の中に、明確に他の競合商品との違いを位置づけるにはどうしたらよいかということを考えます。
違いを示す位置づけをするため、缶コーヒーの調査資料をみたら次のことがわかったとします。
「女性は、食後と甘いものを食べるときに缶コーヒーを飲むことが非常に多い」
これは、ポジショニングの材料に使えそうです。缶コーヒーを飲む「場面」の情報だからです。
缶コーヒーの広告は、みな味や製法、素材にフォーカスしているからです。「味」ではなく「飲む場面」のことを言えばよいのです。
現実にも一社、飲む場面である「朝」に注目した缶コーヒーがありますが、こちらの場面(食後やおやつ)はまだ缶コーヒーでは目立っては使われてないと思います
ここでポジショニングを以下のようにするのです。
「女性がおやつのとき、いっしょに飲んでもらえる、専用のカフェラテの缶コーヒー」
仮にキャッチフレーズを作るとすると次のように感じでしょうか。
「おやつの時間にぴったり、ミルクを贅沢に使った午後のカフェラテ缶。新発売!」
いかがでしょうか。
位置づけは、「おやつの場面」専用にするので、広告が十分に浸透すれば、他のカフェラテに埋もれることはないでしょう。
ポジショニングはとにかく、違いを出すために、
この商品はこんな位置づけだ
と言い切ること、これが肝要です。
(4)「セグメンテーション&ターゲティング」と「ポジショニング」の違いがわかりづらい?
「セグメンテーション&ターゲティング」と「ポジショニング」。どちらも似ているような気がしませんか。「分類の軸や方法を決めてから取り出す」と「位置づけるということ」って似ていますよね?
私もマーケティングを学んでからしばらくは同じ疑問がありました。
一応整理しておくと、こうです。
「セグメンテーション&ターゲティング」
いずれかの市場を選ぶこと
「ポジショニング」
顧客視点で競合商品群と自社商品の違いを表現すること
※選んだ市場の中でという前提がつくのですが、顧客視点ではそのようなものはそもそも眼中にないので無視しても結構です。
では実際にマーケターは、どうしているのでしょうか?
現場では、そもそも「セグメンテーション&ターゲティング」をゼロからやることは不要です。多くの会社は既に商品やサービスを売っているので、極端に市場環境が変わることはありません。かなり斬新な商品、社運を賭けるレベルの商品でないとゼロからやることはないでしょう。
ですので、絶対必要なのはポジショニングだと言ってしまってもいいと思います。
まとめ
今回はマーケティングのプロセスで最も重要なSTPについて説明しました。
この続きは、マーケティングの4P、マーケティング・ミックスへの続きます。記事は以下ですので、続けて御覧ください。