コトラーの示すマーケティングとは何か?
ニーズというのはマーケティングで使われる用語です。ニーズのことを理解するには、どうしてもマーケティングの基本的な概念を知っておく必要があります。ちょっとお付き合いください。 マーケティングとは何でしょう? 一言でいうと「売れる仕組み作り」のことです。 顧客に頑張って売り込むということはせずに。「その商品をぜひ私にも売ってくださいませんか?」といったようになることを目指す活動です。コトラーのマーケティング定義とは?
マーケティング学者でコトラーという人がいます。マーケティングを学ぶ学生やビジネスパーソン向けにテキストを書き、そして業界ではマーケティングのグルと呼ばれる人です。 彼はマーケティングについて以下のように定義をしています。「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益を上げること。」コトラーは多くの本で、マーケティングの定義をしていますが、上記が一番わかりやすいと思います。 (出典:フィリップ・コトラー『コトラーのマーケティング・マネジメント ミレニアム版』)
『コトラーのマーケティング・マネジメント -ミレニアム版-』
著者:フィリップ・コトラー | 出版日:2001-10-29
出版社:ピアソン・エデュケーション | ASIN:4894716445
コトラーの主張するマーケティング進化論 マーケティング X.0
コトラーは、マーケティングの考え方について、時代動向に添って、変えていくべきだと言っています。マーケティングの使命が「売れる仕組み作り」であることは変わらないのですが、フォーカスする部分を変えていこうと主張しています。 マーケティングという概念は、1950年代からビジネス界に入ってきました。コトラーは、マーケティングには時代を経るごとに進化しており、今は4番目のステージなのだと言っています。それぞれマーケティング1.0、~2.0、~3.0、~4.0と名付けています。 どんなものかを、掲げておきます。コトラーのマーケティング1.0から4.0についてのまとめ 「マーケティング1.0」=「製品中心のマーケティング」 製品の機能そのものが価値。 「マーケティング2.0」=「顧客志向のマーケティング」 企業は製品の機能ではなく、顧客のニーズをくみ取ることが大切。大量生産・大量消費型ではなく、多品種少量生産型。 「マーケティング3.0」=「価値主導のマーケティング」 潜在的な顧客の隠れたニーズを探る。顧客を全人的な存在として扱う。「世界をよりよい場所にすること」を目的とし、企業は、生活者に製品やサービスだけでなく、精神的価値や社会的価値を提供する。 「マーケティング4.0」=「自己実現のマーケティング」 「顧客が何を持つべきか」をつくり出そうと考えるのではなく、何をつくり出したら、顧客がもっと幸せになるのかを聞きながら、新しい価値をともにつくっていくこと。 (出典:日本に必要な「マーケティング4.0」とは何か | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) )
コトラーの「マーケティング4.0」と「自己実現」
「マーケティング4.0」には自己実現ということばが入ってます。これは大事なので解説しておきますね。【マズローの欲求5段階説】 ?「生理的欲求」 ?「安全・安定の欲求」 ?「所属と愛の欲求(社会的欲求)」 ?「承認の欲求(尊厳欲求)」 ?「自己実現の欲求」??は日常的に生命を維持するために持っている欲求で当然必要なものです。同時に???の実現に向けて生きているのが人間だという考え方ですね。?から?まで価値の上下はありません。どれも大切なものとされています。なおマズローによると?が最上位の欲求で「自分が何者なのか」ということを表現する欲求だそうです。生きる目的や意味ともかかわってくる非常に奥深い内容を実は示しているんですね。 でもマーケティングの目指す方向は、「自己実現」をも含むところまでまで来ているということを、ここでは理解いただけたらOKです。 もはや単なる、商品のネーミングやパッケージをいじるとか、ブランディングするということだけがマーケティングの目的ではなく、顧客一人一人の人生を意識した商品を考えていくことまで、見据えていくべきだということなのです。そこまで視野に入れないと企業は生き残っていけないということなのでしょう。 それからマーキングした箇所をみてください。「ニーズ」、そして「価値」ということばが使われていますね。 この二つは、マーケティングを行っていく上での目的とプロセスの「肝」なのです。 マーケティングとは顧客の「ニーズ」と、それに応える企業の「価値」の交換なんですね。