ブルーオーシャン戦略|事例を使ってわかりやすく解説




ブルーオーシャン戦略について事例を使ってわかりやすく説明します。ブルーオーシャン戦略とは、ひとことで言うと「競争のない市場を探し創るための方法論」です。

ブルーオーシャン戦略は、ヨーロッパの名門ビジネススクールの教授たちが提唱した経営手法です。
彼らは、競争の激しい流血の争いを繰り広げる既存の市場を「レッド・オーシャン」、競争者のいない新たな市場を「ブルー・オーシャン」と命名し、新市場を切り開く経営手法をブルー・オーシャンを見つける航海に例えたわけです。

かつて世界を席巻した日本の家電メーカーですが、今やスマートホンやテレビ市場では、サムソンにはかないません。そのサムソンが採用したと言われているのが、このブルー・オーシャン戦略です。ほかにもGE、デュポン、ING生命、シンガポール政府、マレーシア政府なども採用しています。

ブルー・オーシャン戦略は「競争のない市場を探すための戦略」を創造するための体系です。

競争さえなければ、どんなに経営は楽なことでしょう。それは当然ですが、本当に実現可能なのか? 最初は、眉唾ものに感じましたが、私も経営課題を考えるときは、結局同じ手法を使っていたことに最近気が付きました。起業家にはとても使えるツールです。

では、解説に入っていきましょう。

ブルー・オーシャン戦略とは

世界的に有名な欧州経営大学院(INSEAD)教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより書かれた『ブルー・オーシャン戦略』という本 写真
ブルー・オーシャン戦略は、経営学では世界的に有名な欧州経営大学院(INSEAD)教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより書かれた『ブルー・オーシャン戦略』という本で提唱された戦略のことです。

 

あの任天堂Wiiは日本の企業のブルー・オーシャン戦略の成功例

日本の企業のブルー・オーシャン戦略の成功例 任天堂Wiiちょっと古い話ですが任天堂が、「Wii(ウィー)」というゲーム機を出したのは覚えていますでしょうか。とても画期的な製品でした。その企画・開発にあたってはブルー・オーシャン戦略を適用したといわれています。(出典:日経情報ストラテジー発ニュース 任天堂「Wii」を生んだ「ブルー・オーシャン戦略」とは? )

『ブルー・オーシャン戦略』自体が素晴らしいのですが、なんといっても名称が秀逸でした。あっという間に世界に広がりました。たぶんこれほど名称自体が魅力的な経営学用語は他にないと思います。

ブルーオーシャン戦略とは「競争のない世界を創造する」こと

著者たちが書いていることは次のようなことを主張しています。まずビジネス界の現状です。

ビジネスの世界は常に競争にあけくれているレッド・オーシャンのみに見える。
しかしよく観察してみると、独自の工夫や着眼点を持ち、競争せずに優秀な業績・地位を築いているブルー・オーシャンの企業や事業も数は少ないが生まれてきて存在している。
だが、時間が立つと、競合企業が参入し競争が始まり、やがてブルー・オーシャンはレッド・オーシャンとなる。ビジネスの世界は、この繰り返しだ。

では、どうすればよいかというと、常に敵のいない新しい市場(=ブルー・オーシャン)を目指して戦略を実行し続ければよい、というのが結論です。

そのために、彼らは膨大な過去の企業データを分析し「ブルー・オーシャン」を実現するための共通項を探しました。そしてそれを体系化したのが『ブルー・オーシャン戦略』なのです。ですので書籍には商品企画から販売、経営全体のかじ取りまで幅広い内容が掲載されています。

ブルーオーシャンは妄想か?

提唱した動機は素晴らしいですよね。しかし世の中の多くの学者や経営者は、そんな素晴らしいブルー・オーシャン市場は、めったに探せないし作れないに決まっている。経営学者が後付けで、でっちあげた意味のない概念だろうと、いう批判です。

でもそうではありません。勘違いです。

ブルー・オーシャンという名称からは、誰も見たことのない未開拓の市場を見つけるというイメージが持たれてしまうことが原因だと思います。だって漫画のワンピースではないですが、「海」という言葉には「宝物探しの航海」みたいなイメージがありますからね。

一般の経営者は、ブルー・オーシャンはiphoneを創ったアップルのスティーブジョブスみたいな天才しか実現できないのだと。

でも、それは誤解です。
著者のチャン・キムらは、

ブルー・オーシャンの実現方法については、今までにないものを創造するという側面ももちろんあるが、大多数は既存の市場での地道な改善である。

ということをはっきりと言っているからです。

この点が経営者に理解されていないため、誤解が生まれるのでしょう。

ちなみに、日本でもブルー・オーシャンはたくさんあります。書籍の中でも1000円床屋のQBハウスが紹介されていますが、それだけではありません。至る所に私はあると思っています。

そもそも毎年、新規上場している会社は、100社近くもありますが、上場時はみなブルー・オーシャンかそれに近いと思ってもよいのではないでしょうか。

また、東証一部上場の会社ですが、この25年間(1989から2014)で利益が3倍になっています(クォンツ・リサーチ)。レッドオーシャンしかなかったら、どう考えても無理なはずです

日本の企業全体が、東芝とかシャープ、三菱自動車などの不祥事報道により、もはや落日みたいなイメージがありますが、とんでもない間違いですので騙されないでください!この件については語りたいことがたくさんありますが、本筋から離れるので、また次の機会に。

国内にはレッドオーシャン市場がたくさんあるのでしょうが、ブルー・オーシャンに該当する市場、事業も次々に生まれ出ていると考えたほうが自然だと思います。

ブルーオーシャン戦略 実際の企業を例に利用法を解説

ブルー・オーシャン戦略は、大企業にとっても有用ですが、起業家こそ一番つかうべきだと思います。大企業に比べたら、体力ではかなわないですからね。新しいものを生み出すノウハウの塊ですからぜひ使いましょう。いろんなノウハウが詰まっているのですが、
もっとも重要で使い勝手がよいのは以下のことです。

「バリューイノベーション」
ブルー・オーシャン市場を創造するためのコンセプト。
顧客にとっての新たな「価値の組み合わせ」を生み出すこと。

「4つのアクション」
新たな「価値の組み合わせ」を作る具体的な4つの方法。

「戦略キャンバス」
新たな価値の組み合わせを図式化したもの。

順番に説明しますね。

「バリューイノベーション」は、ブルー・オーシャン市場を生み出すための発想方法です。新たな価値の組み合わせを生み出すということです。

競争の無い市場を作るには、いろいろと考えられます。一番わかりやすいのが、技術的なイノベーションです。エジソンの電球の発明とか、自動車の発明とかでしょうか。
でも、それは滅多にないものですし、また顧客が価値を認めないと売れないので、価値の有無を重視しています。技術的な革新があってもよいし無くてもOKという立場です。

例えば消しゴム付きの鉛筆が、莫大な富を生み出したそうです。
バリューイノベーションの具体例

ブルーオーシャン戦略 企業の例を使って解説 ~吉野家~

商品は、通常はいくつかの価値を持っています。例えば、吉野家の牛丼だと「早い」「安い」「うまい」なので、ファストフードとしてはわかりやすい3つの価値があるということですね。
吉野家の価値は「調理スピード」「価格」「味」と言えます。他の牛丼チェーンもほぼ似たような価値だと思います。
ブルーオーシャン戦略 企業の例を使って解説 ~吉野家~
では、牛丼にあらたな価値を生み出すとしたら、どうしたらよいでしょうか? ブルーオーシャン戦略のいくつかの手法を使った例をあげていきましょう。

ブルーオーシャン戦略 「4つのアクション」の例

最初の手法は「4つのアクション」です。

新たな「価値の組み合わせ」を作るための具体的な4つの方法です。

(1)Eliminate(取り除く)
業界の常識として扱われている価値を取り除くこと
(2)Reduce(減らす)
業界の標準よりも思い切り減らすこと
(3)Raise(増やす)
業界の標準よりも大胆に増やすこと
(4)Create(付け加える)
業界ではこれまで無かったが、今後付け加えるべきこと

このうち(1)のEliminate(取り除く)と(2)のReduce(減らす)が「低コスト化」が図れ、(3)のRaise(増やす)と(4)Create(付け加える)で「差別化」を図れるとされています。

牛丼であれば、いろいろ価値をいじれそうです。
例えば「味」の価値を「増やす」、そして「価格」の価値を「下げる」ということをすれば「ちょっと値段は高めだが美味しい牛丼」という新しい価値の組み合わせが生まれます。

ブルーオーシャン戦略 「戦略キャンパス」の例

さてこちらは「戦略キャンバス」です。これは価値の組み合わせを折れ線グラフで図式化したものです。折れ線グラフは価値曲線と呼びます。このグラフの形状で、価値の組み合わせの違いがすぐわかります。牛丼を例に描いてみました。

牛丼業界の戦略キャンパスの事例

以上のとおり、商品の持つ価値をまずは顧客側に立ってまず整理することですね。
そのあと4つのアクションなどの手法を使ってみると、様々な新たな価値の組み合わせが生まれます。
そのなかで、顧客が十分に価値を認識してくれ、かつ競争相手がいないものが見つかれば、それがブルー・オーシャンなのです。

まあ、早くその結論を出したいところですが、あとは実践あるのみです。

日本企業のブルーオーシャン戦略 成功事例 ~新たな価値の組み合わせを生み出す~

ここで、2社ほど実例を挙げましょう。先日テレビで取り上げられていた問屋を経営している会社です。とちらも食品関係で、食材オタクの私としては、見逃せない題材でした。

日本企業のブルーオーシャン戦略の説明資料

今、問屋は「日本の流通システムのムダ」といわれ「不要なもの」というイメージがあります。事実、問屋の大半を占める中小卸売業の事業所数、従業者数、年間商品販売額はいずれも減少傾向にあります。1994 年と 2012 年で比較した場合、事業所数で 38%、従業者数で 43%、年間商品販売額で 30%の減少です(中小卸売業の生き残り戦略「3S+P」 – 日本政策金融公庫)。

こうした逆風の中で、右肩上がりの業績を示しているのが今回取り上げる㈱吉寿屋と
㈱西原商会です。テレビで取り上げられるだけありますね。両社を順番に説明し、それぞれをブルー・オーシャン戦略の視点で分析してみたいと思います。
(画像出典・参照元:2016年7月31日(日)放送分がっちりマンデー!!『意外と知らない…儲かる「問屋」ビジネス!』)

企業のブルーオーシャン戦略 成功事例① ㈱吉寿屋(よしや)さん

企業のブルーオーシャン戦略 成功事例① ㈱吉寿屋(よしや)

お菓子問屋でスーパーやドラッグストア向け。1800種類のお菓子を調達・配送されています。年間121億円です。
菓子業界は返品が可能な業界なのだそうですが、吉寿屋は全国で唯一、返品を受け付けていない。本と同じ商習慣です。その代わりに価格を安くしています(1個あたり10円から20円)。小売店からみると売り切ることができれば利益がかなり増えることになります。
この方式を貫くには仕入れをいかにうまく行うか、売れない商品をいかに扱わないかが問われます。ここで他の問屋には必要ない、お菓子の売れ筋を見抜く目が必要となるわけです。
ここに関しては、大変な目利き力を持っており年間2000のお菓子を試食し見極めています。ちなみにもう一度食べたいと思う連食性が大切だそうです。勉強になりました!

企業のブルーオーシャン戦略 成功事例② ㈱西原商会さん

企業のブルーオーシャン戦略 成功事例② ㈱西原商会
ホテル・レストラン・居酒屋・弁当屋など、外食に携わる食材や備品を仕入れ配送しています。チェーン店ではなく個人商店が得意先。全国78000軒に配送。どんなお店にも対応できるよう10万点を扱っています。年商は681億円(2016年2月期)です。

強みは配送。一品でも配送する。そして営業と配送は通常は別だが、西原商会は、配送ドライバーは営業を兼ねています。担当店のお店の売れ筋や不足がわかるうえ、新しい食材などの提案もできるそうです。

日々訪れるわけですし、きめ細かい営業活動が可能です。最近ではプライベートブランドも開発し販売しているそうです。

企業のブルー・オーシャン戦略 成功例を「4つのアクション」で分析!

では分析してみましょう。まずは、どんな新しい価値の組み合わせを作ろうとしたのか、「4つのアクション」を推測しピックアップしてみました。

㈱吉寿屋さんを分析

返品対応を止めたことが、アクションの中心となっています。
「減らす」は、取り扱い品目です。売れないと判断された商品は仕入れませんから「①1800点」という少ないアイテム数となります(毎月100種類以上が新しく発売される)。

「取り除く」が「②返品対応」ですね。全国で唯一です。「付け加える」が「③売れ筋情報」です。厳選した扱い商品そのものが小売店からすると、のどからから手が出る情報だと思います。

「増やす」は「④値引き」ですね。返品がないので、メーカーから安く仕入れられる分を値下げしているわけです。

まとめると「②返品対応」という価値をなくすことで、あらたな3つの価値を組み入れたわけです。図解したものが下記です。

企業のブルー・オーシャン戦略 成功例を「4つのアクション」 ㈱吉寿屋さんを分析

㈱西原商会を分析

こちらの会社は、配送の価値を上げたことがポイントです。
「減らす」「取り除く」といったアクションはしていません。

配送ドライバーに営業を兼務させているので「付け加える」欄に「⑤ドライバー兼営業」が入ります。またプライベートブランドも扱っているので、それもここに入ります(⑥PB商品)。

そして「増やす」については豊富な「⑦10万点」の取扱数、そして、一個でも可能な「⑧少量配送」といったところでしょうか。

配送という価値を徹底して追及し、このような価値の組み合わせにしたわけです。図解したものが下記です。

企業のブルー・オーシャン戦略 成功例を「4つのアクション」 ㈱西原商会さんを分析

両社とも、まったく競争相手はいないかというと、そうでもないかもしれません。しかし、地道に競争のないブルー・オーシャンへ近づこうとしていることは確かです。業界の平均的な価値の組み合わせを変え、新たな価値の組み合わせにしたことで、優秀な業績を作り出したことは紛れもない事実です。

こうした価値を組み替えて、競争の世界から抜け出ていくとうブルー・オーシャン戦略の発想法をぜひ、起業家の方にも取り入れていただければと思います。

ブルーオーシャン戦略 本のおすすめ

●まずこちらがブルーオーシャン戦略の本家本元の著書です。初版から改訂されてます。

●貴重な日本企業の成功事例を掲載
●ブルーオーシャン戦略を手軽に勉強したい方向けです。
●ブルーオーシャン戦略を手軽に「マンガで」勉強したい方向けです。

まとめ

今世紀になって生まれた「ブルー・オーシャン戦略」は、名称だけが先行し、中味を理解されないまま広がった経営手法です。ここで手法を理解しておくと、競争しないで済む新たな事業形態を創るための武器を増やすことが可能となります。

こちらでは「ブルー・オーシャン戦略」で重要なツールを二つ紹介しました。
4つのアクションと戦略キャンバスです。この二つを使いこなせれば、新しい商品やサービスの企画や発想が、かなりやりやすくなります。

「ブルー・オーシャン戦略」は顧客にとっての有用な価値の「組み合わせ」で勝負します
ですので、まずは価値を見える化するところから始まります。
ライバルも含めた価値の実態を図式化したのが「戦略キャンバス」です。

そして、価値の組み合わせを、変化させる方法が4つのアクションです。

・取り除く
・減らす
・増やす
・付け加える

よく考えると、きわめて当たり前のことですね。それゆえに使い勝手がよいのだと思います。せひあなたも使ってみてください。