新規開拓営業のコツ|欲しがっていない人こそ最大の見込み客だ!

こんにちは、コンサルタントの中田です。今回は「新規開拓営業のコツ」について説明します。 営業の世界って大変ですよね。暑くても寒くても外を回り。緊張するプレゼン、商談の駆け引き、値引きやサービスの無理難題などなど。 ルート営業のように、すでに契約したことのある客先を回るパターンの営業はまだいいのですが、新規開拓となるとさらに大変ですよね。 実は私も新卒で入った会社で最初は、新規開拓をやってました。ですから大変さはよくわかります。営業はほんとに苦手で大嫌いだったのですが、不思議と最初にやった(やらされた)新規開拓については、まあそれなりの実績を残せましたし、充実感もありました。いい思い出になっています。 おかげさまで、高評価を受け転勤を免れましたし、意見も聴いていただけるようになり快適だったことを覚えています。よい顧客も担当できて自然と営業成績もあがり良いことづくめでした。 巷の新規開拓営業の本などを見るとつぎのような内容が載っています。
  • 飛び込み訪問
  • テレアポ
  • ポスティング
  • メール
  • FAX
  • 紹介
  • 手紙
  • チラシ
  • イベント・展示会
飛び込み訪問のヒントとかを見ると、「一回目は、パンフレットを出すな、商品を説明するな、売リこむな」という鉄則が書いてあったりします。最初は友好的な関係を築くべし。 そして人間関係ができたら、セールスせよと! 新規開拓営業成功のポイントは、「買ってくれる可能性のある顧客」を探して接点を作るということです。だから、可能性のある客のイメージを、どれだけ予測できるかがポイントだといえるでしょう。 訪問やチラシのテクニックも大切なんですが、じつはターゲットの設定、わかりやすくいうと営業のテクニックではなく「集客」の戦略が重要だということです。 最近は、新規顧客を見つける担当が、営業のセクションとは別に独立して設ける会社も増えてきてます。しかし、そこまではできなかったり、まだ新人の役目である企業もあります。 さて、私は、営業が嫌いだったのに、なぜ開拓は成功できたのか、それについて説明したいと思います、では早速はじめましょう。

新規開拓営業 成功のコツ

先ず、私の営業時代に何をやってたか説明します。 売っていたのは化学分析機器です。普通の人は絶対に知らないでしょう。知っているのは化学系の学部を出た方ぐらいだと思います。対象となる物質が何でできているかを判定する装置でした。企業、研究機関で使うものです。 わかりやすい例でいうと、刑事ドラマで、警察が犯人の遺留品から犯罪の手がかりを見つけるみたいな場面で登場する機器です。価格は500~2000万円ぐらいでした。 新・科捜研の女’06 VOL.1 [DVD] 客先(主に企業)ですが、大企業は上司たちのテリトリーだったため、四季報(未上場版)を買い見て探しコツコツと買いそうな企業を探しては、開拓し続けました。勉強すべき商品知識は膨大でしたが、土日は全てその勉強にあてて全てアタマに叩き込み、とにかく知識量だけは他社のセールスにも、客にも負けないようにしました。 とはいえ、OA商社のように1日に50社とか行くわけではありません。四季報と日経新聞の客観データから、買ってくれる可能性を自分なりに予測しました。多分候補は数千社ありましたが、数十社に絞り、1日に多くて3社を訪問といったのんびりしたペースでした。 しかし結果的には、新規開拓は成功し同期でも一番の実績が出せました。特に私が注力したのは、市場が伸びそうにもかかわらず、社内の誰もが新しいということで積極的に手がけませんでした。1年に1台でも売れれば御の字というところを、私一人で3~4台ほど売っりました。しかもみなそれまで取引が無かった会社ばかりで、その点も高く評価してもらえました。 ただ、情けないのですが、なぜ上手くいっていたのかが、当時は理解できてませんでした。努力すれば何とかなるほど甘くは無い世界です。なにしろ1千万の機器を、私の営業トークや接待術で買わせることは、できるわけがないからです。 ずーっと不思議に思っていたのですが、やっと先日、疑問が解消しました。たまたま本屋で手に取った本に答えが載っていたのです。和田裕美さんの本です。 和田裕美さんは英会話教材、百科事典で世界ナンバー2のセールス実績を出したセールスウーマンとして有名なんですが、「世界N.o2って、どれほどのものなのか?」と知りたくなり買ったんですね。
それを読み、以下の小見出しを見てハッとしました。

今、欲しがっていない人が一番の見込み客

いや、これは教科書に書いてあることと違います! 欲しがっている人を見つけて売るのが基本でしょう!! しかし読んで納得できました。文章を引用しますね。
一番良いお客さんというのは、”最初からその商品やサービスを必要としていて、今すぐにでも欲しいと思ってる人”です。こうした人はどんな営業マンが相手であれ、品物をすぐにでも欲しいのですから、営業としての苦労も努力もノウハウもいりません。 本当に営業が必要とされているのは、”別にいらないけれど、あっても構わない”という優柔不断ゾーンにいるお客さんたちです。 もっと言えば「ちょっと興味がある」という程度の人こそが、私たちの大事な見込み客であるといえるのです。
そして以下のように「こうした優柔不断ゾーン」の見込み客は、全体の80%もおり、この層にこそ営業が必要だということを示されていました。 和田さんは英会話の教育プログラムを売ることになったとき、本来最も売りたい相手(10%)が、大変少なく見つけづらいことに、きづいたそうです。 一番よい見込み客は、「英会話を習いたい人」なのですが、そんな人は既にどこかでなら習っている人が多いからです。ですのでそんな少ない人たちを探しているのは効率が悪い思います。彼女が目をつけたのは、英会話に興味のない人たちでした。そして、その人たちにこのように語りかけたのです。
今は興味ないかもしれないけど、いつか、将来的には、英語話せるようになったほうがいいですよね?
たいていの日本人はみな英語は話せたほうがいいと思ってますから、否定はありえません。その後は「いつか」を「今」に変えるべくトークを行い成約に結びつけていったそうです。 営業トークの上手さは必要だと思いますが、それにしても目のつけ所が素晴らしいと思いました。逆張りの発想ですね。 そして少し経って、気づいたのです。自分もこれをやっていたのだと! 私は、化学メーカーなら必ず分析用の装置は、品質管理にも研究開発にも必要になるはずだと確信がありました。分析機器を持っていない企業は高額のお金を払って、必要な都度、専門の機関に外注していたからです。 私が開拓した会社は大企業ではありませんでしたが、それでも数百人の従業員と数十億の売り上げがあり、いつかはきっと化学分析機器を買うようになると思ったんです。 いわゆる小粒でもピリリと辛い、社屋はオンボロだけど製品シェアは独占に近く設備はピカピカみたいな企業が多かったです。 多分お客さんたちも製品の必要性は薄々と感じていたのだと思います。ところが小さな企業を相手にしていたセールスマンは他にいなかったので、そうしたニーズに対応できたのが、たまたま私だけたったのでしょう。だから未熟な新人の私でも1人勝ちできたのだと思います。当時はバブルがはじける前で大変な好景気。予算面でも追い風があったのだと思います。 和田裕美さんは英会話を習いたいと思っていた人、既に習っている人を相手にしませんでした。 私も、先輩たちが担当している、そうした機器を、買ってくれそうな、もしくは持っている大企業の所には行きませんでした(結果的にですが)。 そして運よく80%の人たちの中から、顧客になってくれるひとが、見つけられたということだったのでしょう。 一応、理屈として説明すると、集客、マーケティングでいう「ターゲティング」が適切にできていたということですね。 詳しい解説は以下へ マーケティングの手法”STP”|セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング すぐ買いたいという人に、さっさと売るのはもちろん大事ですが、新規開拓にまず必要なのは、ターゲット、しかも競争せずに済むターゲット探しが大事だということですね! あとこれは、違う視点の話なのですが、大事なことなので追加しておきます。「製品のライフサイクル」のことです。

製品ライフサイクルによって新規開拓の方法は変わる

製品のライフサイクルというのは、商品を人の一生に例えて説明したマーケティング用語です。人が赤ちゃんから少年、そして成人、老人となっていくように、商品というものにもそうしたライフステージがあるという考え方です。 製品ライフサイクル理論(Product Life Cycle)では、製品に「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階を設定しています。売上は以下のような曲線を描くといわれており、各ステージごとに最適なマーケティングのやり方があります。 私が扱っていた分析機器は、まだ市場に出たばかりの導入期の製品でした! 導入期は、市場開拓の時期です。啓蒙を主として製品の認知度を高めることが必要な時期です。製品のコンセプトや、使い方の提案などを行い、製品のベネフィットを顧客に理解してもらうことが重要とされています。す、す 偶然ですが、徹底して商品知識で勝負する私の営業スタイルが通用したのは、導入期という絶好のタイミングだったからということもあったわけですね。 もしも製品が衰退期であったら私は悲惨な結果となったことでしょう。絶対売れないでしょうから。 ということで、 迷っている80%のところを狙うのは、以上のことから考えると製品が「導入期」が最適といえます。それ以外は違う作戦を考えたほうがいいでしょう。 ですがBtoCの製品、特に個人が次々に試せるサービス財は、個々人にとっては、常に導入期みたいなもんですから、あまり意識せずともいいと思います。

まとめ

今思い出しても、大変だったな~と思っている営業時代。嫌々ながら、やり始めた営業職ですが、それなりの結果が出て、結構、充実感がありました。それが今の自分の原点にもなってます。まさしくビギナーズラックでした。 さて新規開拓営業については、いろいろな手法が存在しています。どれもそれなりに有効だと思いますが、とにかく買いそうな顧客を見つけること、競争を避けることが鉄則です。 そういう意味では、和田さんの取ったやり方は、大変有効だと思います。 売りやすいところは激戦区なので、そこは避けて買う可能性のある潜在顧客のいる場所を狙う方法です。ただ事前に営業トーク(トークスクリプト)は十分に準備と練習が必要ですね。 さて、本日紹介した新規開拓営業のコツは参考になったでしょうか? 今回も長文をお読みいただきありがとうございました。