KPIの例 | 病院経営のKPI指標

病院とはじめとする医療機関は非営利とはいえ、健全な病院経営は社会的な要請となっています。その病院経営を行う上で最適なツールがKPIです。KPIとは重要業績評価指標(Key Performance Indicator)のことを指します。一般企業ではいまやあたりまえの常識として、日々の活動を独自に設定したKPIの達成に焦点をしぼって成果を出していっています。

ここでは病院経営にや役立つKPIの例と、すぐに実践に移せるようパワーポイントのテンプレートを用意しました。ではさっそく説明に入りましょう。

KPIとは

KPIというのは計画における目標数値のことですKey Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジゲーター)」意味しています。企業においては目標数字を追いかけるのは、あたりまえのことです。

なぜ、単なる目標数値に対して”KPI”などという名称を付けることになったのでしょうか? その理由は、計画をたてるときの目標数値自体の取捨選択と設定こそが組織の業績(パフォーマンス)に影響することがわかってきたからです。
KPIの提唱者キャプランとノートンは、これを飛行機の操縦に例えています。パイロットは目的地に着くまで、たくさんの計器のメーターを見てチェックしながら飛びます。どのタイミングで、どの計器を見るべきか、それがどのような数値ならOKなのかを確認しながら飛んでいるわけです。

これは「パイロットは、いつ、どこで、どの計器が、どんな数値を示しているならOKなのか」を完璧に理解し実行しているから目的地に着けるのです。

これと同じでいわば会社や病院を「操縦」するときに見続けるメーターがKPIなのです。どんな数字を目指すとその病院の最大のパフォーマンスが出せるのかが病院の「KPI」だといえましょう。

KPIを設定するメリット

KPIを使うことで、当然メリットが生まれます。一言で言うと「組織の活動の過程(プロセス)を上手に管理できるようになる」ことが最大のメリットです。

  1. 途中の経過をチェックできる。毎年の決算の結果を待たなくても良い。
  2. 数字で日々の行動状況をチェックできる。ただ言葉で「頑張って」「限界を突破」とかよりも実用的。
  3. 組織のメンバー全員で互いの行動や組織の動きをチェックできる。
  4. メンバーの意思統一が図りやすくなる
  5. メンバーに対する評価を公平に行えるようになる。

KPIは、適切に導入して活用することでメンバーのモチベーションが向上して、組織全体のパフォーマンスを上がるのです。逆にそうでない場合は、導入の仕方が間違っているということですね。

KPIの生まれた背景

KPIは、1992年経営ツール「バランスト・スコアカード」が大元です。提唱したのはキャプラン(ハーバード大学教授)と、ノートン(コンサルティング会社社長)。「スコアカード」は成績表ですから、直訳すると「バランスのよい企業の成績表」ということです。

このツールはそれまであった似たような業績評価のシステムとは違い、大変よくできていたので、あっという間に世界中で受け入れられるようになりました。特に「見える化」への配慮が受けたのだと思います。

そしてそのなかで、中核的な概念として一般的な「業績指標」、そして特に重要なものとして「重要業績指標(=KPI)」が説明されています。ちなみに彼らは経営を見るには、4つの分野についてKPIを設定しましょうといっています。

・学習と成長の視点(従業員のスキルアップ)
・顧客の視点(お客様の感じるロイヤリティー、品質)
・社内ビジネス・プロセスの視点(業務内容の質)
・財務的視点(財務の視点、例えば使用総資本利益率など)

本来、KPIはこうしたもの(4つの視点に立った評価指標)だということは、ちょっと頭の片すみにいれておいてください。ちなみに以下がキャプラン氏とノートン氏の原典です。

KGIについて

KPIはKGIと言う用語といっしょに使われることが最近多いです。KGIとは「Key Goal Indicator(キーゴールインジゲーター)」の頭文字を取った略語で、達成できたかどうかを計測する最終目標(ゴール)の数字です。

KGIとKPIが両方とも出てくる場面があります。その場合は以下のような意味合いを持ちます。

KPI=中間目標
KGI=最終目標

最近は、こちらの使い方が多くなっています。確かに分けたほうがいい場合もありますよね。
例えば、最終目標(KGI)を「医業収益 10億円」と設定したとします。すると、中間目標(KPI)は、その医業収益を分解して設定します。例えば医業収益を3つに分けて設定すればKPIは以下のようになります。

  • KGI →  医業収益 10億円
  • KPI その1→ 入院診療収益(室料差額含む) 2億円
  • KPI その2→  外来診療収益 2億円
  • KPI その3→ 受託検査・施設利用収益、その他 1億円

ここではシンプルな例を出しましたが、実際はこのような絶対額だけでなく〇〇率といった数値もよく使われます。


病院のKPI、KGI の例について

KPIの本家はバランス・スコアカードだというのは既に説明したとおりです。ここでは病院に用いられるバランス・スコアカードの成果尺度を掲げておきます。以下の4分野においてKGI、KPIを設定し、定期的にモニターをしながら病院の経営全体を把握しましょう。

病院について「財務」の観点から用いられるKPI/KGIの例

病院経営の成績表ともいえるのが財務的な尺度です。

  1. 医業収益
  2. 診療単価
  3. キャッシュフローマージン
  4. 病床利用率
  5. 平均在院日数
  6. 病床回転率
  7. 医業収支比率
  8. 医師一人あたり医業収益(1年間)
  9. 人件費率
  10. 科別、部門別の原価率/医業収益(率)
  11. 疾病別の医業収益(率)
  12. 医薬品のデッドストック率

病院について「顧客」の観点から用いられるKPI/KGIの例

利用者(患者)さんの視点で見たKPIは以下のような例が考えられます。

  1. 従業員満足度
  2. 利用者(患者)の総合的な満足度
  3. 利用者(患者)家族の満足度
  4. 地域開業医からの満足度
  5. 医師治療についての満足度
  6. 看護師のケアに関する満足度
  7. 事務職員対応の満足度
  8. 紹介率、件数
  9. 就職、転職希望者数
  10. ボランティア受け入れ数
  11. 実習生受入数
  12. 新患者数、増加率
  13. 地域の市場シェア
  14. ER受入数/断り数
  15. 診療待ち時間
  16. 会計の待ち時間
  17. 利用者のQOL向上度
  18. クレーム件数
  19. 服薬、栄養指導の件数
  20. セカンドオピニオンの実施回数
  21. 利用者リピート率(回数)

病院について「業務プロセス」の観点から用いられるKPI/KGIの例

業務のプロセスはKPIを利用する上でまさに真骨頂といえます。代表的な例を掲げておきます。

  1. 職員の時間外勤務比率
  2. 医師の時間外勤務比率
  3. 看護師の時間外勤務比率
  4. コメディカルの時間外勤務比率
  5. アクシデント件数
  6. 褥瘡発生率
  7. ヒヤリハット件数
  8. 院内感染発生件数
  9. 合併症発生率
  10. 手術室の稼働時間
  11. 離職率
  12. 労働分配率

病院について「成長と学習」の観点から用いられるKPI/KGIの例

従業員のスキルアップの状況を示すKPI/KGIです。

  1. 教育研修費
  2. 院内/外部の研修実施回数、のべ参加人数
  3. 地域に向けた勉強会の実施
  4. 学会参加のべ人数
  5. 学会発表、論文発表数
  6. 専門医数
  7. 認定看護師数
  8. 接遇研修費
  9. 提案件数(件数)
  10. 資格の取得
  11. 離職率

以上のKPI/KGIの例については、以下の書籍を引用もしくは改変し掲載させていただきました。

高橋淑郎(2004)『医療経営のバランスト・スコアカード―ヘルスケアの質の向上と戦略的病院経営ツール』生産性出版
日本医療バランストスコアカード研究学会 (編) (2007)『医療バランスト・スコアカード導入のすべて―構築・展開・成果』生産性出版


KPI/KGIの勉強に役立つ本

入門書↓

医療分野↓

まとめ

今回は、病院のKPI、KGIについて書きました。もしも時間があったらバランスト・スコアカードも学んでみてください。またできる限り実践的で使えそうなKPI/KGIの例を掲げておきました。参考にしていただけますと幸いです。

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