ウィルパワー(意志力)の意味とは何か?  




今回はウィルパワー(意志力)の意味、そして意志力を消耗させる6つの要因、強める4つの要因を説明します。

「ウィルパワー(意志力)」というのは、最近欧米の心理学で使われるようになってきた心理用語です。意味は一言で言うと「目標を成し遂げる力」のことです。日常でも決めたことがやり遂げられないとき「意志が弱いな」と言いますね。まったく同じです。

ただ意志力の対象とする範囲は広く、結婚や就職といった意思決定も入りますが、身近な「朝きちんと起きて会社に行く」「メールに返信する」といった日常のほぼ全ての活動が含まれます。

意志力はこのあと読んでもらえればわかりますが、本当に貴重な我々の資産なんです。私はこの本を読んでから、大事な意思決定をする前は、時間に余裕があってもメールやSNSをしたり、雑用を片付けたりすることは止めました。知ってよかったです。また大事な決定は、疲れがたまった夜はしないことにしています。意志力が十分に無いからです。

もともと、意志が強い、弱いということば自体は、昔から日常で使われてました。しかしなぜ、こんな風に注目されるようになったのでしょうか?

それは「勉強」「出世」「寿命」の違いの原因として、意志力の有無がどうやら影響しているらしいことが科学的に証明されるようになってきたからです。

特にアメリカのスタンフォード大学という、世界でも最優秀の学生たち通う大学でケリー・マクゴニガルの「意志力」の授業が大人気になりそれが本になったことで、日本でも火が着いたようです。

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)

そして意志力というと、こちらの本も一部で話題になりました。格闘ゲームのプロが書いた本です。(こんな職業があったのは知りませんでした)

勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書)

意志力を知ることで、ダイエットや早起きといったことで苦労している人、仕事がうまくいってない人、その原因を探るうえで意志力(ウィルパワー)について知っておくことはとても有益です。ではさっそく解説を始めましょう。

意志力(ウィルパワー)はなぜ取り上げられるようになったのか?

さて意志力のというのはどうして研究されるようになったんでしょうか?

「意志力」とは、目標を成し遂げる力のことでした。もっと簡単にいうと「やる気」とか「脳の体力」という人もいるようです。そもそもこんなことを議論する以前に、私たちは「意志が強ければ何事も経験的にうまくいくこと」を知っています。

今さら何なんだ?と思うますね。その通りです。ですが、科学的には誰もそれが正しいことを正面から証明していなかったんです。その隙間を埋めるべくがんばったのが意志力の研究者たちだと思ってください。かれらは脳神経科学、心理学などの知識を総動員して証明にあたりました。

そのおかげで、意外なこともわかってきましたので、知っておいて損はありません。では研究の発端から説明しましょう。

人間の意志決定という活動は、脳の前頭前皮質で行われているといわれています。心理学者のロイ・バウマイスターらは、意志というものは、脳という器官で創り出される一種のエネルギーだと考えこれを客観的に表せないかと考えたんです。

格闘ゲームでよく「戦闘力30」「生命力70」「知力50」といったかんじでプレイヤーの状況を数値化して表示しますが、それと同じように「目標を成し遂げる力 」を脳から発生するパワーとみなして、科学的に表してみようとしたのですね。

こうした観点で人の意志決定の活動を研究すると科学的にもいろいろなことが説明できることがわかってきたんです。

3つの要素からなる意志力(ウィルパワー)

そして研究の結果、まず意志力というものの中身がわかってきました。最も支持されているのが、次の3つの力から成り立つという考え方です。

やる力:成し遂げられる力、目標に向けて成し遂げる力
やらない力:欲望を抑える力
望む力:やりたいことをイメージし計画する力

「やる力」「望む力」というのはご理解いただけると思います。くわえて「やらない力」というのも重要なんです。例えば禁煙とかダイエットのことを考えみてください。タバコを吸わない、高カロリーのものを食べない、とても大事ですよね。

この3つの力は、脳の領域でいうと下図のようなポジションで産みだされると考えられています。

(出典:スタンフォードの自分を変える教室)

この3つの力が合わさって、意志力として働きます。

ですが人間には、あいにくこの意志力に場合よっては反抗する力もそなわっているそうです。それは一般に「感情」とか「衝動」と呼ばれるものです。下図では意志力を「自己コントロール」、衝動を生み出す部分を「衝動的な自己」として記載しています。


(出典:スタンフォードの自分を変える教室)

人間の頭(心)の中では、常に意志力と衝動がシーソーゲームをやっていると考えられています。もっとわかりやすくいうと、理性(意志力)と感情(衝動)がしのぎを削っている状態です。

意志力が勝っていれば、望む未来を描き(望む力)、やるべきことをやり(やる力)、よくないことはやめられます(やらない力)。

一方で、意志力が弱ってしまうと、未来は考えられず、自分のコントロールができず、ネガティブな行為に走りやすくなるのです。最悪な例が、アルコール中毒や薬物濫用です。衝動からくる快感への誘惑に意志力が勝てない場合です。

あなたも、やるべき仕事が残っているのに、ついスマホを見たり、TVを見たりして、無駄な時間を過ごしたことはないでしょうか。長期的なことでも、短期的なことでも、物事をやるときには、感情に流されずに意志力を高めて乗り切ることが重要なんです。

こんなことを書くと、あたりまえじゃないかという声が聞こえてきそうです。まったくその通りで心理学や脳科学を持ち出すまでもないですね。意志力の研究の価値は、このシーソゲームへの賢い対処法を明らかにしたところにあるんです。それを説明しましょう。

意志力(ウィルパワー)は限りある資源だった!

意志力(ウィルパワー)の量は無限ではなく、限りがあるということがわかりました。これが最も意味のある知見だと私は思います。起きてから寝るまでの間に一定の量しか用意されないのです。基本、朝起きた瞬間から意志力は減っていくと思ってください。

元に戻すには、睡眠を含め充分な休息の時間が必要です。意志力は、何かを考えたり決めたり、将来のことを考えたり、自分のそのときの感情や衝動を抑えたり、我慢したりするたびに減っていきます。

意外にも、ゲームの世界と同じだったんです。ただ現実の人間は、仮に意志力が減少してもいきなり思考が止まるとかはありません。でも日常生活で経験しているとおり、たくさん頭を使いすぎると判断力が鈍くなることはあなたも経験済みだと思います。

そしてもう一点、ゲームと違うことがあります。意志力は、ゲームのアイテムみたいにお金で買ったり、何かのアクションでゲットすることができないことです。浪費してしまえば、本当に必要なときに意志力を使えなくなってしまうのです。いわばお金と同じなんです。

ウィルパワーが減っていくことを、心理学では「決定疲労」とか「自我消耗」といいます。「決定疲労」とか「自我消耗」が進むと、計画性や自制心が働きづらくなり、自分の思考・行動が感情に流されやすくなってしまいます。

誰かに意志決定を任せたくなるときってありますよね? 皆で飲食店に入ってもメニュー選びを人にまかせてしまったりしませんか? 意思決定の量が多すぎて、脳が疲労を起こした状態に陥ったからです。イライラしだすのも意志力が関与する部分も多いとされてます!

さらにもっと「自我消耗」が進むと、物事を決めることを避けるようになります。逆に疲れてるときには、重要な意思決定は延期したほうが賢明ですよ! 私は最近はそうしてます。

どうでしょうか。意志力が人間にとって「貴重なモノ」だということを実感できましたでしょうか?

では次に意志力の増減に関する要因を詳しく説明します

意志力(ウィルパワー)を低下させる要因

では次に意志力を損なう要因から、あらためて説明しますね。

低下要因① 決定疲労・自我消耗

既に説明しましたが、とにかく物事を決める、判断することは全て意志力が消耗するのだと思ってください。よくやるのが、ちょっとした空き時間にメールやSNSの返信などをやることがありますが、それも同様です、塵も積もれば山となるですから要注意ですよ

ちなみに大きなことを目指す人は細かいことを気にしないし関わりません。スティーブ・ジョブズは、いつも同じ服を着ることで無駄にウィルパワーを消費しないようにしていたといわれてます(真偽はわかりませんが)。

この決定疲労は、一番大事なので、もう一つ例をあげましょう。マンガのONE PIECEに出てくるルフィーやゾロもどうやら意志力の消耗は注意しているのではないかと思う場面があるんです。

これは私の好きな場面の一つなんですが、初期の東の海編で、アーロン達と闘う直前、ルフィー、サンジ、ゾロ、ウソップは、ナミの悲しい過去を、ナミのとともに育ったノジコから教えてもらう場面があります。

ここで、ウソップとサンジは、話を聴くべく耳を傾けるのですが、ルフィーとゾロは違います。ルフィーは必要なしと判断して散歩に行ってしまいます。

(出典:ONE PIECE 第9巻 第77話 ”夢の一歩”)

ゾロは聴くと回答したものの、話しはじめた途端に居眠りを始めてしまうのです。

(出典:ONE PIECE 第9巻 第77話 ”夢の一歩”)

この場面は、4人の性格の違いだと前は思っていたのですが、意志力のことを知り、考えが変わりました。戦闘力がダントツに強いルフィーとゾロは、自覚はしていないのですが、あまり意味のない場合、「意志力」を節約するような行動が自動的に取れるようになっているのではないか、と思ったのです。

幼少期は、感情のおもむくままに動いていた二人ですが、闘いの訓練を重ねる中で意志力を温存するような習慣を身に着けたのではないでしょうか? まあサンジやウソップがいなければ、まじめに聴いたのだと思いますが、とりあえず彼らに面倒なことは任せたのだと判断しました。いかがでしょうか?

低下要因② マルチタスク

同時に二つ以上のことを行うのは、意志力をよけいに消耗します。なんとなく気になることを頭の片すみに抱えながらやるのって、やはり負担ですよね? 私は間違いなくそうです。

ですので、やるべきことは常に一つにしましょう。少なくとも気になる場合は、メモしてToDoリストに書いて頭から追い出しておきましょう。またどうしても気になるなら、先にやってしまうか、後でやる時間を明確にしておくことです。

私は、短時間で済むことなら片付けてしまうようにしています。ちなみに、私はメールとか短時間で終わる作業なら、気になる場合はやってしまいます。そして大事な意思決定をしなくてはいけない場合、「どうでもよいことは後回しにする」「気になることは先に片付ける」というのが、経験的にはよいように思います。

低下要因③ 長時間の労働

長い時間、休憩をいれずに仕事などで頭を使い続けることは意志力をより消耗します。これも説明するまでもなくあなたも実感できることだと思います。

低下要因④ 血糖値の低下

意志力を使うと、脳が働きます。脳の栄養源は基本はブドウ糖です。ですので血液中の血糖値の濃度が減ると、やはり影響を受けることになります。

(ブドウ糖が血液の中に入ると“血糖”といわれるものになります。それの濃度が血糖値です)

誰もが、血糖値を上げれば意志力を簡単に調節できると思いますよね。とっくにこれは科学者が実験していて、少しの量を摂取すれば、それなりに向上するのですが、朝一番のレベルまで戻すのは無理なことがわかっています。ですのでブドウ糖を食べて意志力をアップさせようという試みは、止めておいたほうがいいと思います。おやつはホドホドにということです。

低下要因⑤ 睡眠不足

これも説明するまでもありませんね。睡眠時間が少ないと、意志力は正常なレベルに戻りづらくなります

低下要因⑥ ストレス

ストレスも意志力を消耗させると言われています。悲しいできごと、つらいできごと、不快な人間関係など、きりがないほど現代社会はストレスが多いです。特に労働の場面ではそうです。意志力が減る、萎えるということも実感として同意いただけると思います

意志力(ウィルパワー)を向上させる要因

では逆に、意志力をアップさせるにはどうしたらよいのでしょうか?

まず基本は、先に掲げた意志力を低下させる原因を取り除くことです。それに加えて以下のことも有効だとされています。

向上要因① ちょっとした挑戦を続けていく

これは何でもかまいません。それほど意志力が必要そうにないことでよいので、日々継続することです。小さな達成を通じて、意志力は培われるといわれています。それにより一日に使える意志力の総量がアップするというようにお考えください。
私は、日々「一定の時間に起きること」「起きたら体にちょっとでもよいことをやること」「ブログを書くこと」をやるようにしています。
体によいこととは、私の場合「50歩ジョギングする」とかの呆れるほど低レベルの内容です。それでも何となく意志力はアップしているように思います。

向上要因② 体を動かす習慣をもつ

体が気持ちよく感じる程度の運動なども意志力のアップに有効とされています。

向上要因③ 十分な睡眠/昼寝

睡眠により脳はよく機能するようになります。パワーナップと呼ばれる短時間睡眠(昼寝)も有効です。ただ時間については個人差があるので、いろいろと試して最適な値を探すとよいでしょう。

ちなみに私は30から45分ぐらいがちょうどいいです。

向上要因④ 瞑想

最近は一流の企業でも、研修などでマインドフルネスとよばれるタイプの瞑想を行うところが増えてきています。科学的な証明もあります。自分に合うようなスタイルを探してみるとよいでしょう。

私も、マインドフルネス系の瞑想をいろいろ試しているところです。またわかったことがあれば、報告したいと思います。

意志力を消耗を減らす裏技は?

ここまでわかれば、日常でで気をつけることも予想できますね? 何かをやろうとする・選択するだけでもエネルギーを使うのですから、意識せずにできるようにしてしまうという裏技もあります。

①習慣化

その一つは「習慣化する」ということです。

例えば自転車や自動車の運転がそうです。最初は大変な苦労をしますね。自転車なら数日、自動車なら数ヶ月は、相当意識してハンドルやブレーキなど注意して運転しますね。でも慣れてしまえば、まあそれほど大変ではありません。

歯磨きや顔を洗うのも同じです。小さい頃、親に言われながら渋々やっていた頃が誰もがあるでしょう。でも慣れてしまえばどうってことないですね。

習慣化は意志力の消耗を減らす、最も有力な手段です。

②分割化

物事は、実際には細かい作業の積み重ねです。新しいことをやる場合、最も意志力を使うのが、未知のものごとの計画を建てるときなんです。

新規のプロジェクトを始めたりするときは、スタート前の余力のある時期に、可能な限りやるべきことを小さく分割しておくことです。毎日、それに取り組むときに「面倒くさい」という感情が起こりづらくしておけばいいんです。

理想は15分ぐらいで、片付くレベルに分割しておくと、何事もそれほど抵抗なくできるそうです。ぜひお試しください。

意志力(ウィルパワー)とグリット(やり抜く力)の違いは?

ここまで説明した「意志力」と似た概念に「グリット」があります。

このブログでも「グリット(やり抜く力)とは」の記事で取り上げました。

グリット(GRIT):やり抜く力

意志力(WILLPOWER):目標を成し遂げる力

ちょっと似ていてややこしいですね。どちらも結局、目標を達成するという意味では同じにみえます。

これは私の個人的な捉え方ですがこう思っています。

意志力は全ての人間のあらゆる思考、行動を説明するための理論。老若男女、職業、性別など問わずに通用する理屈だと思ってください。

そしてグリットのほうは、「社会的に卓越した成果を出す」ということに特化した研究だと捉えるのがよいと思います。

ですから、一流のアスリート達の成果を違いの原因を追いかけるにはグリットのほうに注目すればよいし、一般的な話をする場合には意志力のほうを参考にするとよいのではないかと思ってます。

もちろん一流のアスリートでも「意志力」に関する理論は、同じ人間なので全て通用します。このように考えると、両方とも知識として活かせるのではないでしょうか?

まとめ

今回は意志力について重要な点をまとめてみました。

意志力とは「目標」を達成する力のこと。そして意志力は次の3つの力から構成されます。

  1. やる力
  2. やらない力
  3. 望む力

そして意志力は、対抗する衝動と常に対抗しています。意志力は理性の力とも言えます。

そして意志力を下げる要因と上げる要因も説明しました。

【下げる要因】

  1. 決定疲労・自我消耗
  2. マルチタスク
  3. 長時間の労働
  4. 血糖値の低下
  5. 睡眠不足
  6. ストレス

【上げる要因】

  1. ちょっとした挑戦を続けていく
  2. 体を動かす習慣をもつ
  3. 十分な睡眠/昼寝
  4. 瞑想

【上げる裏技】

  1. 習慣化
  2. 分割化

いかがだったでしょうか。ウイルパワーは大事なことなので、またあらためて記事を書かせていただきます。ありがとうございました。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。