顧客ニーズを把握・分類するのに役立つフレームワークを紹介

こんにちは。今回は、顧客ニーズを把握・分類し、マーケティングに役立てていくために使えるフレームワークについてお伝えします。

今まで「ニーズ」について次の記事を書きました。
(1)ニーズの意味について徹底解説!
(2)顧客ニーズを捉えるヒント
今回はその第三弾です。顧客ニーズを掴むには、顧客の声をしっかり掴むことがスタートとなります。それができれば、それ以降のマーケティング活動がスムーズに進められます。何事も準備が必要!大事な顧客の声を活かしていくため、まずはフレームワークを準備しましょう。では早速、解説をはじめましょう。

顧客のニーズを把握するための方法

あなたが製品やサービスを販売、企画する立場だとしたら、商品企画のために顧客ニーズを掴む必要がありますね。

顧客のニーズとは、顧客の心のなかに満たされていない何かが存在している状態です。例えば「○○という機能がついた商品が欲しい」「□□みたいな味のするスイーツが食べたい」というのも、顧客にそうしたニーズが存在しているということですね。

顧客ニーズを知るための方法はいくつかあります。例えば以下のようなものです。

お客様の声を聴くこと
アンケートを取ることが
ネットでの書き込み

結局どれも「顧客の声を聴く」ということになります。顧客のニーズを知るためには、お客様の意見を集めることから始まるということですね。ここまでは、ビジネスに携わった方なら多くの方がおわかりになられると思います。

顧客の声を集めても困ってしまうことがある

あなたは顧客の意見を真に受けて失敗したことがありませんか。また真逆のことを主張するお客様もいます。どっちが本当なのか迷いますよね。

顧客の意見を集められたとしても、それは単なるデータであって、すぐにマーケティングや商品企画に役立てられるわけではないのです。集めた情報は、取捨選択して役に立つものだけを選ばなければなりません。

一つ実例をあげましょう。

私が家電製品のマーケティングをやっていたときのことです。ほぼ定番となっている顧客の意見がありました。

「テレビやオーディオ製品の色がみな黒やシルバーでつまらない。だから他の色を採用したら?」

実はこれって、絶対真に受けてはいけない意見なんです。
台所や洗面所に置く冷蔵庫や洗濯機、エアコンは、いろんな色が使われていますが、リビングや寝室に置くテレビ、オーディオ機器は、黒、シルバー以外、購入する客はほぼいません。
他社で白いオーディオ機器を販売したことがありますが、やはり売れませんでした。

こんなことは、どの業界にもあると思います。顧客の声は慎重に分析すべきなのですね。顧客の意見は、内容を吟味した上で、使えるものだけを採用していく必要があるということです。

優秀な会社は、顧客の意見をみごとに活用して業績を伸ばしています。ですから顧客の意見を集め活用できるか否かは、100%企業側の活用スキルの問題なのです。では、どのようにすればよいのでしょうか?

分析する独自のフレームワークを用意せよ

顧客の声を、ただやみくもに集めるだけでは意味がないことはわかっていただけたと思います。活用するには、そのための仕組みを作ることが大事なのです。会社の誰が情報を集めてきても、最終的に、集約され慎重に吟味する仕組みです。

その仕組とはどのようなものでしょうか。答えは、顧客の声を集めたら、それを適切に記録・整理するフレームワーク(枠組み)を用意した上で、蓄積していくということです。

集めた顧客の意見を、文字にして記録します。パソコンでも紙でもOKです。よくあるのは、一つの意見を、一枚のカードに書く、または、パソコンに入力します。その際、ただやみくもに書き留めるのではなく以下のようなフレームワークを用意して整理ながら、記録することです。

フレームワークといっても、以下の3点を明確にしておくというだけで、ごく簡単なものです。

(1)顧客を分類しておく
(2)意見を分類しておく
(3)チェックポイントを決めておく

それぞれを詳しく説明します。

(1)顧客を分類しておく

意見をいってくれた顧客がどんな顧客なのか、後で分析しやすいよう「顧客分類」をしておくことです。分類の基準は、とりあえず「購買頻度」「年代」「性別」などで最初はOKです。

こうすれば、自社の顧客を常にグルーピングして管理していくということを習慣化していくことができます。適切に分類された顧客の意見は、そうでない場合に比べ、全く使い勝手が違います。

ヘビーユーザーと、一回しか利用したことのない客の意見を同列視したらとんでもないですよね。やればやるほど使える分類方法になっていくはずです。

※可能な範囲でいいので、声を拾った時の状況、お人柄、態度など分類項目以外の点についても記録しておくとよりいいです。

(2)顧客の意見の「内容」を分類しておく

内容の分類の方法は業態や商品によっても異なりますが、一般的には次のような感じで分類して記録すればよいでしょう。

商品について機能面に関する意見感想

商品の具体的な仕様や性質に関するものです。
(例)
・早送りボタンが押しにくい
・部屋が広いので、離れたところからでもリモコンが効くようにして欲しい
・機能が多すぎて、リモコンは、使い切れない、苦痛だ。

商品について情緒的な感想や意見

商品の仕様とは直接関係ない、感覚的なこと、連想することなどです。
(例)
・色やデザインが普通すぎてつまらない。
・これってかわいいわ!

価値観

顧客自身の人生観や、価値観から発信していると思われるもの。
(例)
・この商品を買って○○しているとき、いきててよかったと思うんです。
・これを持っているだけで、できるビジネスマンに見えるよね。

トレンド/ブーム

トレンドは時代の流れ、ブームとは一時的な流行(1年未満)のこと。これらの時代を背景とした意見を得られれば、他の顧客についても同様ではないかと考えるヒントになります。
(例)
・子供が少なくなったせいか○○で子供の姿をみることは少なくなってきましたね。
・スタバやドトールに行かずにコーヒーはコンビニで買ってます。

クレーム、安全に関わること

これについては、迅速に知ってもらうべき人間に伝わるような仕組みを作っておきましょう。
(例)
・ときどき焦げ臭い、においがする。
・角のところがときどきひっかかる。

以上の5つはフレームワークを作る一つの例です。こうした分類のためのタグを考え、情報を保存していくことで、マーケティングに役立てやすくなります。

(3)チェックポイントを決めておく

顧客の意見には、特定のバイアス(偏り)がかかっていることがあります。心理学でいう感情バイアス、認知バイアスです。

本人を感情的にするようなものごとが起きた場合、本音や事実が歪むという現象です。顧客の意見を記録する場合、以下のような面もチェックすることは必要です。

・顧客が本音を隠していないか?

これはアメリカで実際にあった話です。
インスタントコーヒーや冷凍食品を売り始めた頃の話です。今は当たり前に使われている商品ですが、最初は思ったほど売れなかったそうです。
発売したメーカーは必至に理由を探ろうとします。インタビュー調査をすると、やはり悪い評価しか出てきません。
後日その真の理由がわかりました。その当時、主婦像は、きちんと手間をかけて料理を用意するのが良い主婦だとされていました。だからあえて、本音と異なる回答をする人が多かったのだそうです。
本当は便利で、味もそこそこいいし、主婦たちは本音ではよい評価をしていたのに、調査の場面ではそのように格好をつけてしまったということです。

・自分の意見ではないことを言っていないか?

これもよくある例です。顧客に感想を尋ねたとき、本人は正直何も考えていなかったとき、ノーコメントというのは格好悪いし、相手にも失礼なので、適当にでっち上げてしまう、他人のことばを受け売りでいってしまうということがあります。これも注意です。

他にも感情バイアスが働くことはあると思います。経験を積むことで見極められるようになっていきますから、それもこのフレームワークに組み込んでいくとよいでしょう。

本音を聴く、確認するためのテクニック

上記の例も、ある意味では人間の真実を現しているわけですが、やはり将来マーケティングに直接役に立つ本音を語ってほしいですよね。
それには、相手の話を聴くとき、読むときに、「矛盾の無い一連のストーリーになるか」ということに注意することです。人が本音を語るときには、思わず納得させられる理由や背景があるものです。

相手はお客さんなので、刑事が犯人を問い詰めるようにはできませんが、そうした観点も持っておくと、誤った情報を蓄積せずに済みます。心がけてみてください。

おすすめの本

まとめ

今回は、顧客ニーズを把握するための簡単なフレームワークの作り方を説明しました。ここで説明した内容を土台として、自社のフレームワークを作っていくとよいと思います。

◆フレームワークに組み込む内容
(1)顧客に関する分類情報
(2)商品に関する分類情報
(3)チェックポイント(感情バイアスを見抜くための施策)

以上を参考に、あなたなりのフレームワークを作る参考にしてくださると幸いです。
よろしくお願いします。